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【ブログ更新】 📝 【28℃は罠だった?】設定温度と室温の違い、知らないと電気代で損をするかもしれません

2026.07.20

「設定温度を28℃にしているのに、なぜか涼しくならない…」実はその「28℃」、エアコンの設定温度ではなく「室温」の目安だったこと、ご存じでしたか?

この思い込みの違いだけで、電気代のムダ遣いにつながっているケースは意外と少なくありません。ブログでは、環境省・ダイキン工業の公表情報をもとに、「つけっぱなしとこまめに消す、結局どちらが得なのか」や、賃貸住宅でも今日からできる節電の工夫、高性能住宅だからこそ実感できる電気代の差まで、わかりやすくまとめています。


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木製テーブルのあるリビング空間を背景に、エアコンのリモコンを持つ手と「【28℃は罠だった?】設定温度と室温の違いを知らないと電気代で損をする理由とは?」のテキストが配置されたwoodplusのバナー。

【28℃は罠だった?】
設定温度と室温の違いを知らないと電気代で損をする理由とは?

2026.07.20

いつも弊社のブログを閲覧いただき、誠にありがとうございます。
高槻市の工務店、woodplus代表の武下です。

夏本番を迎えると、気になるのが「エアコンの電気代」ではないでしょうか。
「つけっぱなしと、こまめに消すのはどちらが得なの?」「設定温度は何度がいいの?」——こうした疑問は、賃貸にお住まいの方も、戸建てにお住まいの方も、高気密・高断熱の住宅にお住まいの方も、共通して抱えているものだと思います。

私たちは長年、住まいの性能やご家族の暮らし方に向き合ってきましたが、「エアコンの使い方ひとつで、暮らしの快適さも電気代も変わる」という実感を多くのお客様から伺います。特に子育て世帯にとっては、体調管理の面からもエアコンとの付き合い方は身近なテーマではないでしょうか。

この記事では、環境省やダイキン工業といった公的機関・メーカーの公表情報をもとに、どなたにも役立つエアコンの使い方をわかりやすく整理しました。今すでに賃貸や戸建てにお住まいの方は日々の暮らしにそのまま取り入れていただき、これから家づくりを考えている方は、住まいの性能とエアコンの関係を知る参考にしていただければと思います。後半では、高性能住宅だからこそ実感しやすい「エアコンとの付き合い方」もご紹介します。

木目の美しいフローリングと白い壁を基調とした、自然光が差し込む開放的なLDK。ペンダントライトやオープン階段が空間のアクセントになっています。




設定温度と室温、実は違うものだった


夏の目安としてよく耳にする「28℃」。これは環境省が2005年から呼びかけている「クールビズ」の目安ですが、実はこの28℃は、エアコンの設定温度ではなく「室温」を指しています。
つまり、エアコンの設定温度を28℃にしたからといって、部屋の温度(室温)が必ず28℃になるとは限りません。日当たりや部屋の断熱性能、外気温、湿度、さらにはエアコンの設置位置やセンサーの感知の仕方によっても、同じ設定温度で体感は大きく変わってきます。

もし設定温度を28℃にしても暑さを感じる場合は、我慢せず、室温計をお部屋に置いて実際の温度を確認しながら、快適に過ごせる設定に調整することが大切です。環境省も、冷やしすぎない適正な室温管理を呼びかけており、無理のない範囲での工夫を推奨しています。

冷房24度に設定されたエアコンのリモコン。背景には木製テーブルのあるくつろげるリビング空間が広がっています。

ちなみに「28℃」という数字は、上着やネクタイなどの軽装によって体感温度が下がる効果を踏まえて設定されたものとされています。服装を軽くするだけでも体感温度を調整できるという考え方は、ご家庭でも取り入れやすい工夫のひとつです。

また、体感温度には湿度も大きく関わっています。同じ気温でも、湿度が高いとより暑く感じ、低いと涼しく感じやすくなります。設定温度だけにこだわらず、湿度もあわせて意識することで、無理なく快適さを保ちやすくなります。

気温24.6度、湿度45パーセントを示すデジタル温湿度計。木目のカウンターの奥には、観葉植物のある快適なリビングが広がっています。

なお、エアコンの設定温度を1℃調整すると、消費電力は冷房で約13%、暖房で約10%程度変わるとされています。設定温度を下げすぎず、少し高めの設定でも快適に過ごせる工夫を組み合わせることが、節電の第一歩になります。体感温度は人によって感じ方が異なるため、ご家族で心地よいと思える範囲を、少しずつ探ってみるのもよいでしょう。



「つけっぱなし」と「こまめに消す」、どちらがいいのか


これも多くの方が気になるテーマだと思います。ダイキン工業が行った検証実験によると、答えは「時間帯や外出時間、住まいの条件によって変わる」というのが実際のところです。
エアコンが電力を多く使うのは、スイッチを入れた直後、つまり設定温度に到達するまでの立ち上がりの時間です。長距離を走るとき、スタート直後にペースをつかむまでは体力を多く使うのと似たイメージで、エアコンも運転を始めた直後にもっとも力を使い、設定温度を保っている間は少ない電力で運転できます。

同社の実験では、日中の気温が高い時間帯に短時間(30分程度)の外出をする場合、こまめにスイッチを切るよりも「つけっぱなし」にしておいたほうが、消費電力を抑えられたという結果が出ています。これは、外気温と設定温度の差が大きい時間帯ほど、スイッチを入れ直すたびに多くの電力を使ってしまうためです。
一方で、外気温が下がる夜間や、外出時間がそれよりも長くなる場合は、こまめに消したほうが電気代を抑えられる場合があるともされています。

白い壁面に設置された、シンプルなデザインのエアコン室内機。ルーバーが開いており、稼働している様子がわかります。

たとえば、夏は外気温35℃前後に対して設定温度を27℃程度にすることが多く、その差はおよそ8℃です。これに対して冬は、外気温7℃前後に対して設定温度を20℃程度にすることが多く、差はおよそ13℃にまで広がります。この温度差が大きいほどエアコンの立ち上がり時の負荷が大きくなるため、一般的に冬の暖房のほうが夏の冷房よりも電気代がかかりやすいといわれています。季節によって「つけっぱなし」と「こまめに消す」の効果が変わってくるのは、こうした温度差の違いも関係しています。

ただし、これらの目安はあくまで特定の建物・条件下での検証結果であり、住まいの断熱性能や気密性能、季節、時間帯、天候によって結果は変わります。ご自宅の状況にそのまま当てはめるのではなく、参考の一つとして捉えていただくのがよいでしょう。
判断に迷ったときは、エアコンの「自動運転モード」に任せるのもひとつの方法です。設定温度に到達するまでは効率よく運転し、その後は消費電力の少ない運転に自動で切り替わるため、こまめな温度調整を人の手で繰り返すよりも効率的に使えることがあります。

なお、使用年数が長いエアコンは、年々性能が落ちていることがあります。フィルター掃除などの工夫をしても効きが悪いと感じる場合は、機種そのものの経年劣化が影響している可能性もあります。賃貸にお住まいの場合は、管理会社や大家さんに一度相談してみるのもよいでしょう。

白いサイディングの外壁に、専用金具を用いて壁掛け設置された三菱電機製のエアコン室外機。下部は水はけの良い砂利敷きになっています。




賃貸でも今日からできる、エアコン効率アップの工夫


「賃貸だから、大がかりなことはできない」という方もご安心ください。以下は、賃貸住宅でも今日からすぐに実践できる工夫です。

まず取り入れやすいのが、フィルターのお掃除です。フィルターにホコリが詰まると、空気の通り道がふさがれ、部屋を冷やしたり暖めたりする力が弱まります。その結果、設定温度に到達するまでに時間がかかり、余計な電力を消費してしまいます。掃除機でホコリを吸い取るだけでも効果があり、汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めたぬるま湯で洗い、日陰でしっかり乾かしましょう。目安は2週間に1回程度です。特別な道具や工事は不要なので、賃貸にお住まいの方でも気軽に取り入れやすい習慣です。

窓からの光に透かして確認されている、清掃が行き届いた綺麗なエアコンのメッシュフィルター。

室外機のまわりを整えることも大切です。吹き出し口の前に荷物や植木鉢が置かれていたり、直射日光が当たり続けていたりすると、熱をうまく外に逃がせず、エアコンの効率が落ちてしまいます。まわりに物を置かない、日よけを設置するといった工夫だけでも変化が期待できます。

白い外壁に沿ってコンクリート土間に設置された、三菱電機製のエアコン室外機。配管もすっきりとまとめられています。


また、サーキュレーターや扇風機を併用して空気を循環させることで、設定温度を下げすぎなくても涼しく感じやすくなります。冷たい空気は部屋の下側にたまりやすいため、壁や天井に向けて風を送り、部屋全体の温度ムラを減らすのもおすすめです。
体感温度は気温だけでなく湿度にも左右されるため、除湿(ドライ)機能を活用するのも効果的な方法のひとつです。窓からの日射熱も室温上昇の大きな要因のひとつなので、遮熱カーテンやレースカーテン、ブラインド、グリーンカーテンなどで日差しを和らげる工夫もあわせて取り入れてみてください。

木目の美しいフローリングに置かれた、上向きに稼働する白いサーキュレーター。奥にはラグを敷いた温かみのあるリビングが広がります。


このほか、室外機からのびる排水ホースにゴミや落ち葉が詰まっていないかを時々確認しておくと、水漏れなどのトラブル防止にもつながります。フィルター掃除とあわせて、季節の変わり目にひと通りチェックする習慣をつけておくと安心です。


高性能住宅だからこそ実感できる、エアコンとの付き合い方


ここからは、高気密・高断熱の住まいにお住まいの方、そしてこれから家づくりを検討されている方に向けたお話です。
一般的な住宅では、部屋を閉め切っていても、すきま風や窓・壁からの熱の出入りがあるため、エアコンを止めるとすぐに室温が変化してしまいます。これが、こまめに消すとかえって電気代がかさみやすくなる理由のひとつです。

一方で、気密性能(C値)や断熱性能(UA値)が高い住まいでは、一度快適な室温になると外気の影響を受けにくく、その状態を保ちやすいという特徴があります。つまり、エアコンの立ち上がりの回数そのものを減らせるため、少ない運転量でも快適さを維持しやすくなるのです。

woodplusの住まいでは、全棟で断熱性能【UA値0.46以下】、気密性能【C値0.5以下】を基準とし、すべての住宅で温熱計算・気密測定を実施しています。ご希望に応じて、UA値0.26相当まで性能を高めることも可能です。間取りや窓の配置によっては、こうした性能の住まいで、1台のエアコンでも家全体を心地よく保ちやすくなる場合があります。

深みのある色合いの木質フローリングと白い壁面収納がある室内。大きなガラスの掃き出し窓からは、タイル張りのテラスと植栽が望めます。

あわせて重要なのが、24時間換気システムとの組み合わせです。高気密な住まいほど、計画的な換気による空気の流れがエアコンの効きにも影響します。性能・換気・間取りを一体で設計することで、「エアコンを頑張って使う暮らし」から、「エアコンにあまり意識を向けなくていい暮らし」へと少しずつ変わっていきます。

woodplusでは、ZEHやHEAT20、BELS、長期優良住宅といった省エネ・性能に関する基準にも対応した住まいづくりを行っています。さらに太陽光発電も積極的に採用しており、蓄電池についてはご家族の暮らし方に合わせてご提案しています。こうした取り組みは、目先の見た目や価格だけでなく、住み始めてからの毎日の心地よさと、長い目で見た光熱費の負担を、あわせて大切にしたいという考えから行っているものです。

切妻屋根の広範囲に太陽光パネルを搭載した、白い外壁の住宅外観。バルコニー部分にはレンガ調の外壁材がアクセントとして使われています。




この記事のまとめ


 • 環境省の「28℃」は室温の目安であり、エアコンの設定温度そのものではありません。設定温度と体感には湿度も関わってきます。

 • 「つけっぱなし」と「こまめに消す」は、外出時間や住まいの条件によって使い分けるのが実際的です。判断に迷ったときは自動運転モードに任せるのもひとつの方法です。

 • フィルター掃除や室外機まわりの整理は、賃貸でも今日からできる基本のメンテナンスです。

 • 気密性能・断熱性能が高い住まいは、エアコンの立ち上がり回数そのものを減らせるため、少ない運転でも快適さを保ちやすくなります。

エアコンは「使い方」だけでなく、「住まいの性能」によっても効率が変わってきます。今のお住まいでできる工夫を続けながら、将来的に家づくりを考える際は、断熱・気密性能にもぜひ目を向けてみてください。日々の小さな工夫の積み重ねが、電気代の負担を抑えるだけでなく、ご家族が心地よく過ごせる時間を増やすことにもつながります。

※本記事の内容は、2026年7月時点で確認できる環境省・ダイキン工業の公表情報をもとに作成しています。省エネ基準や推奨室温、実験条件などは今後見直される可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。



引用元・参照元


• 環境省「クールビズ」「COOL CHOICE」公式サイト(適正な室温28℃の考え方について)
• ダイキン工業株式会社「空気とくらし」(つけっぱなし実験、節電情報、エアコンのしくみについて)



よくある質問<FAQ>


Q1. エアコンの設定温度は何度にすればいいですか?


A.環境省が呼びかける「28℃」は、エアコンの設定温度ではなく「室温」の目安とされています。設定温度を28℃にしても室温が下がりきらない場合は、我慢せず室温計で確認しながら調整することをおすすめします。

Q2. 外出するときはエアコンをつけっぱなしにすべきですか?


A.ダイキン工業の検証では、日中の短時間(30分程度)の外出はつけっぱなしのほうが消費電力を抑えられる傾向があるとされています。ただし住まいの性能や季節、外出時間によって結果は変わるため、あくまで一つの目安として捉えていただくのがよいでしょう。

Q3. 賃貸でも今日からできる節電方法はありますか?


A.フィルター掃除(2週間に1回程度)、室外機まわりの整理、サーキュレーターの併用、遮熱カーテンの活用などは、賃貸住宅でもすぐに取り入れられる工夫です。

Q4. 高性能住宅だとエアコンの使い方はどう変わりますか?


A.気密性能・断熱性能が高い住まいは、一度快適な室温になると外気の影響を受けにくいため、エアコンの立ち上がり回数そのものを減らしやすくなります。間取りや窓の配置によっては、1台で家全体を心地よく保ちやすくなる場合もあります。

Q5. 家づくりの相談はどこから始めればいいですか?


A.まずは「家づくり勉強会」や「完成見学会」への参加がおすすめです。予算・性能・間取りの基本を体系的に学べる場として活用いただけます。




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woodplusは、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、片野市など、事務所から車で1時間圏内のエリアを主な施工エリアとしています。




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woodplusでは、「家づくり勉強会」「個別相談」「完成見学会」「オンライン相談」など、さまざまな形でご相談いただける機会をご用意しています。打ち合わせ回数に制限はなく、Instagramやお電話でも気軽にご相談いただけます。お子様連れの方も、キッズスペースを完備した環境で落ち着いてお話しいただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【ブログ更新】 📝
新しい選択肢登場。乾太くんだけじゃない、電気でも叶う時短乾燥とは?

2026.07.16

洗濯物を室内で乾かす「室内干し」が当たり前になりつつある今、衣類乾燥機は暮らしに欠かせない設備のひとつになっています。
これまで人気を集めてきたガス式の「乾太くん」に加え、2026年7月、パナソニックから屋外排気式の電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」が新たに発表されました。

今回のブログでは、両者の特徴や設置条件の違い、そしてご家庭のガス環境・電気設備の方針に応じてどちらが検討しやすいのかを、住宅会社の視点から整理してご紹介しています。
これから家づくりを考え始める方にも役立つ内容ですので、ぜひご一読ください。

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【ブログ更新】 📝
【大手が勧める理由】全館空調、本当にご家庭に合っていますか?アンケートで見えた見落としがちなポイント

2026.07.16

「大手ハウスメーカーがこぞって勧めているから、全館空調は間違いない」——そう思われている方も多いのではないでしょうか。実際、旭化成ホームズの調査では、全館空調利用者の満足度は個別エアコン利用者を20ポイントも上回るという結果が出ています。

ただし、この満足度の高さには、実は見落とされがちな条件が隠れています。ご家族の中に「暑がりの人」と「寒がりの人」が両方いるご家庭、あるいは休日以外は日中家を空けることが多いご家庭にとっては、少し事情が変わってくるかもしれません。

ブログでは、公表されているアンケートデータをもとに、全館空調の満足度の実態から、体感温度の違いによる家族間のギャップ、そして意外と見落とされがちな導入費用・メンテナンス費用まで、できるだけ正直にまとめました。


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【新しい選択肢登場】
乾太くんだけじゃない、電気でも叶う時短乾燥という新しい発想とは?

2026.07.16

こんにちは。
高槻市の工務店、woodplus代表の武下良太です。

梅雨や花粉の季節はもちろん、共働きのご家庭では「洗濯物をいつ、どこで乾かすか」は暮らしの中の小さくない悩みではないでしょうか。近年は室内干しを前提にした間取りや設備を希望される方が増えており、衣類乾燥機はその中心的な設備のひとつになっています。これまでガス式の「乾太くん」が高い支持を集めてきましたが、2026年7月、パナソニックから屋外排気式の電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」が発表されました(発売は同年11月上旬予定)。

この記事では、両者の特徴と、ご家庭の環境によってどちらが検討しやすいのかを、住宅会社の立場から整理してご紹介します。

大きな窓から自然光が差し込む、無垢材のフローリングと天井付けの物干しを備えた明るい室内干しスペース。




室内干しが「当たり前」になった今、衣類乾燥機は暮らしの必需品に


結論からお伝えすると、洗濯物を室内で乾かす「室内干し」を前提にした暮らし方は、この数年で急速に広がっています。共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化、そして天候に関係なく洗濯を完結させたいというニーズの高まりが背景にあるとされています。

実際に、家づくり勉強会や個別相談の場でも、「乾太くんを検討している」「電気式の乾燥機と迷っている」というご相談を伺う機会が増えました。以前は乾燥機能を「あれば便利」程度に考えていたご家庭も、いまでは洗面脱衣室やランドリールームの計画段階から、乾燥機の設置を前提に間取りを検討されるケースが目立ちます。とくに、共働きで洗濯物を干すタイミングが取りにくいご家庭や、小さなお子さまがいて花粉やほこりが気になるご家庭からのご相談が増えている印象です。

タイル調の床と白い壁で統一された洗面室。ドラム式洗濯機の上部に造作の木製可動棚を設けた機能的なランドリースペース。


また、外干しをしない前提で計画を進めると、バルコニーの広さや物干し金物の位置といった検討項目が変わります。それにともなって、室内のランドリースペースや収納計画により力を入れられるという、もう一つのメリットも生まれます。
こうした背景を受けて、住宅設備メーカー各社も乾燥機能に力を入れており、2026年7月には新しい選択肢としてパナソニックから電気式の「Solaire」が発表されました。ガス式の代表格である「乾太くん」に加えて、電気だけで完結する選択肢が広がったことは、家づくりを検討されているご夫婦にとっても知っておいて損はない情報です。

Solaireは2026年11月上旬発売予定のため、本記事の公開時点(2026年7月)ではまだ店頭でのお取り扱いは始まっていませんが、これから家づくりを検討される方は、今のうちに選択肢のひとつとして知っておかれるとよいかもしれません。


ガス式「乾太くん」と新登場の電気式「Solaire」、まず違いを整理


この章の結論として、両者は熱源も設置条件も異なるため、単純な優劣ではなく「ご家庭の環境に合うかどうか」で考えることが大切です。それぞれの特徴を整理してみます。

▶ ガス式「乾太くん」の特徴


リンナイの「乾太くん」は、ガスの燃焼熱を利用して衣類を乾かすガス衣類乾燥機です。高温の温風で一気に乾燥させるため乾燥時間が短く、6kgタイプで目安として約60分程度とされています(メーカー公表値)。ふんわりとした仕上がりに定評があり、乾燥機能そのものを重視するご家庭から長く支持を集めてきました。また、乾太くんは容量やコースのバリエーションも豊富なため、ご家族の人数やライフスタイルに合わせて機種を選びやすい点も魅力のひとつです。

白いクロス仕上げの空間に専用棚を用いて設置された衣類乾燥機と、隣接する造作の収納棚

一方で、設置にはガス栓の増設や排湿筒(排気口)の設置が必要になる場合が多く、建物の構造や設置場所によっては工事の可否を事前に確認する必要があります。都市ガス・プロパンガスいずれにも対応する製品がありますが、契約状況によって導入のしやすさが変わる点も押さえておきたいポイントです。

▶ 電気式「Solaire(ソレイル)」の特徴


パナソニックが2026年7月に発表した「Solaire」は、乾燥時に出る高温多湿の空気をダクトで屋外へ排出する「屋外排気式」を採用した電気衣類乾燥機です。200V電源を組み合わせることで、従来の家庭用電気衣類乾燥機と比べて乾燥時間を約45%短縮したとされ、標準コース・6kg乾燥時で約135分が目安とされています(メーカー公表値、使用条件により異なります)。

白い壁を背景に専用台に設置された排湿管付きの衣類乾燥機と、アイアンブラケットで固定された木製のオープン棚

大風量かつ低温風で衣類の縮みを抑えながらふんわり仕上げる設計や、ワイシャツコース・厚物コースなど洗濯物に応じて選べる複数のコースが用意されている点も特徴です。ガスを使わない設計のため、太陽光発電や夜間電力との組み合わせによって、ランニングコストを抑えやすいとされています。

条件によっては都市ガスと同程度のコスト水準も見込めるとメーカーは案内していますが、実際の費用は電気料金プランや使用状況によって変わりますので、あくまで目安として捉えていただくのがよいでしょう。電気料金プランによっては、深夜時間帯にまとめて乾燥させることで、日中よりもコストを抑えられる可能性がある点も、電気式ならではの検討材料です。

なお、この製品は住宅設備ルートでの取り扱いが中心となる見込みで、設置には屋外へのダクト接続工事と200V電源の引き込み工事が必要になり、別途費用が発生する点には注意が必要です。発売は2026年11月上旬予定で、価格は執筆時点でオープン価格(販売店での確認が必要な価格設定)となっています。つまり、本記事の公開時点(2026年7月)では、まだ店頭での販売や実機の確認はできない状況です。これから発売される製品として、情報収集の段階から選択肢のひとつに加えておかれるのもひとつの方法です。

※本記事は執筆時点(2026年7月)の情報です。価格や仕様、発売時期などは変更される場合がありますので、最新情報はメーカー公式サイト等でご確認ください。

▶ 比較して見えてくること


ここまでの内容を、簡単に整理してみます。

項目乾太くん(ガス式)Solaire(電気式)
熱源ガス電気(200V)
目安乾燥時間(6kg)約60分約135分
主な設置条件ガス栓・排湿筒の設置200V電源・屋外排気ダクト
位置づけ既存の人気製品2026年11月上旬発売予定(発表済み・未発売)

※上記はメーカー公表値をもとにした目安です。実際の時間や費用は、使用環境や衣類の量、条件によって異なります。

こうして並べると、乾燥のスピードでは乾太くんに分があり、ガスの契約や配管が不要になる点はSolaireならではの特徴といえます。どちらが優れているというよりも、ご家庭の設備環境や、何を優先したいかによって、向き不向きがあると考えるのが自然です。乾燥時間の差は、日々の家事の流れにも関わってくるため、洗濯から乾燥までの一連の動線をイメージしながら比較していただくと、より判断がしやすくなります。

モルタル調の床が特徴的なランドリールーム。造作の木製収納棚の横に並列で配置されたドラム式洗濯機と排湿管付き衣類乾燥機




どちらが向いている?ご家庭のタイプ別に考える


この章の結論は、ガスの契約状況や電気設備の方針、住まいの形態によって、向いているタイプが変わるということです。以下、タイプ別に整理します。

▶ ガスの契約や配管環境が整っているご家庭


すでに都市ガスやプロパンガスを契約されている、またはこれから契約を予定されているご家庭であれば、乾太くんのようなガス式乾燥機は選択肢として検討しやすいでしょう。特に、短時間での乾燥を重視される方や、大容量タイプで一度に多くの衣類をまとめて乾かしたい方には向いていると考えられます。共働きで朝の身支度の時間が限られているご家庭からも、乾燥の速さを理由に選ばれる傾向があります。キッチンなどですでにガスを使用されているご家庭であれば、既存の配管を活用できる場合もあるため、あわせて確認しておくとよいでしょう。

白いワークトップとビルトインガスコンロを備えたキッチン。奥にはアーチ型の開口部が特徴的なパントリーへと繋がる動線。


▶ オール電化・太陽光発電を検討しているご家庭


オール電化住宅や太陽光発電の導入を予定されているご家庭では、ガスを新たに契約する必要がない電気式の乾燥機は検討しやすい選択肢のひとつです。特にSolaireのように、夜間電力や自家発電との組み合わせでランニングコストを抑えられる可能性がある製品は、電気を主体とした暮らしと相性が良いといえそうです。

ただし、200V電源の確保やダクト工事が必要になるため、間取りや電気配線の計画段階での事前確認が欠かせません。太陽光発電を検討されている場合は、あわせて蓄電池の要否もご相談いただくとよいでしょう。ZEHを目指す家づくりとも方向性が合いやすい設備といえます。

屋根に太陽光パネルを搭載した、グレーの外壁と木目調の玄関ドアが特徴的なモダンな住宅外観とカーポート


▶ 賃貸や既存住宅にお住まいの方


賃貸住宅や、大きなリフォームを伴わない既存住宅にお住まいの場合は、ガス栓の増設や屋外への排気ダクト工事が難しいケースもあります。乾太くん・Solaireいずれも設置には一定の工事条件があるため、導入を検討される際は、建物の構造や管理規約を含めて、事前に施工可否を確認されることをおすすめします。

工事が難しい場合は、コンパクトタイプの電気式乾燥機や、衣類乾燥除湿機といった別の選択肢もあわせて検討する方法があります。新築のタイミングであれば、こうした制約を気にせず計画できることも、注文住宅ならではの利点といえるでしょう。

グレーの外壁と規則的に並ぶバルコニーが特徴的な、アプローチに豊かな植栽を設けた低層集合住宅の外観




家づくりのタイミングで検討するメリットと、見落としやすい注意点


この章の結論は、乾燥機の種類は間取りの初期段階で方向性を決めておくと、後の調整が少なく済むということです。

▶ 新築だからこそ叶う設置計画


注文住宅の場合、間取りや電気配線、換気計画を設計段階から織り込めることが大きな利点です。たとえばSolaireのような200V電源・屋外排気ダクトが必要な設備も、新築時であれば無理のない位置に計画しやすく、ランドリールームやファミリークローゼットとあわせて、洗濯から収納までの動線全体を効率化することもできます。乾太くんを検討される場合も同様に、ガス栓の位置や排湿筒の取り出し方向を、間取りの初期段階から相談しておくと、後々の調整が少なくなります。

woodplusでも、ランドリールームの計画時に「乾燥機はどちらのタイプにするか」を早めにお伺いし、配管・配線の位置を先に確保しておくご提案をすることがあります。設備選びは、後から変更しようとすると、壁や配管の位置によっては大きな手間がかかる場合もあるため、間取りづくりの初期段階でのご相談をおすすめしています。

ドラム式洗濯機と乾燥機が並ぶランドリールームから、引き戸越しに大容量のファミリークローゼットへと繋がる効率的な家事動線


▶ 見落としやすい費用・工事の注意点


衣類乾燥機は、本体価格だけでなく、設置に伴う電源工事やダクト工事、ガス配管工事などの費用が別途発生する場合があります。特にSolaireは執筆時点でオープン価格のため、本体価格に加えて工事費用も含めた総額での確認が必要です。乾太くんについても、設置環境によって工事内容や費用が変わるとされています。いずれの製品も、正式な金額や工事内容は、メーカーまたは販売店への確認が必要な点にご留意ください。

また、どちらの製品を選ぶ場合も、設置スペースの奥行きや排気・排湿の方向、メンテナンスのしやすさなど、日々の使い勝手に関わる部分も忘れずに確認しておきたいポイントです。フィルターの掃除のしやすさや、扉の開閉スペースなども、実際に使い始めてから気づきやすい部分ですので、可能であればショールームなどで実物を確認されることもおすすめします。
woodplusでは、こうした設備選びについても、間取りの打ち合わせの中で気になる点を整理しながら進めていただけるようにしています。

白い壁面に接続された、衣類乾燥機上部の金属製排湿管の施工ディテール




この記事のまとめ


洗濯物を室内で乾かす暮らしが広がる中で、乾燥機は「あれば便利」から「暮らしに欠かせない設備」へと位置づけが変わりつつあります。今回ご紹介したパナソニックの「Solaire」は、ガスを使わずに時短乾燥を叶える新しい選択肢として、今後の家づくりでも話題になりそうです。とはいえ、乾太くんとSolaireのどちらが優れているという単純な話ではなく、ご家庭のガス環境や電気設備の方針、設置場所の条件によって、向いている製品は異なります。

なお、Solaireは2026年11月上旬発売予定の製品であり、本記事の公開時点(2026年7月)ではまだ店頭でのお取り扱いは始まっていません。これから家づくりを進められる方は、今のうちに選択肢のひとつとして知っておかれると、今後の設備選びの参考になるかもしれません。家づくりを検討される際は、洗濯動線や設備計画とあわせて、ご家庭に合った乾燥機の形を早めに整理しておくと、後悔の少ない選択につながるのではないでしょうか。



引用元・参照元


パナソニック株式会社「屋外排気式電気衣類乾燥機『Solaire(ソレイル)』を発売」Panasonic Newsroom Japan(2026年7月1日) 
https://news.panasonic.com/jp/press/jn260701-2


「パナソニックが200Vの電気衣類乾燥機 乾太くんの強力ライバルに」ASCII.jp(Yahoo!ニュース配信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f6ea768ca026d08715e04c2cfad13d792ccb9b6



よくある質問<FAQ>


Q1. Solaireはもう購入できますか?


A. Solaireは2026年7月に発表された製品で、発売は2026年11月上旬を予定しています。本記事の公開時点では、まだ店頭でのお取り扱いは始まっていません。発売開始時期や取り扱い店舗については、メーカー公式サイト等で最新情報をご確認ください。

Q2. 乾太くんとSolaire、どちらが電気代・ガス代を含めて安く済みますか?


A. 使用頻度や契約している電気・ガスの料金プラン、設置条件によって異なるため、一概にはお答えできません。目安として、Solaireは条件によって都市ガスと同程度のコスト水準になる可能性があるとメーカーは案内していますが、実際の費用は個別にご確認いただくことをおすすめします。

Q3. 乾太くんの設置にはどのような工事が必要ですか?


A. 一般的にガス栓の増設や排湿筒(排気口)の設置が必要とされています。建物の構造や設置場所によって工事内容が変わるため、施工会社への確認が必要です。

Q4. 賃貸住宅でも乾燥機は導入できますか?


A. ガス栓の増設や屋外排気の工事が難しい賃貸住宅では、設置が制限される場合があります。管理会社や大家さんへの確認に加えて、工事が不要なタイプの乾燥機を検討する方法もあります。

Q5. 新築の場合、乾燥機はいつ頃までに決めればよいですか?


A. 電源やダクト、ガス栓の位置は間取りの設計段階で決めておく必要があるため、詳細な機種選定は着工前までに、方向性のご相談はできるだけ早い段階で行っておくと安心です。Solaireのように発売前の製品を検討される場合も、電源・ダクトの計画だけ先に確保しておくことができます。



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弊社woodplus(株式会社武建築工房)では、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、交野市などを主な施工エリアとしてご相談を承っています。事務所から車で1時間圏内を目安としておりますので、詳しい対応エリアについてはお気軽にお問い合わせください。



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2026.07.15


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家づくりがまだ漠然としている方も、ちょっと聞いてみたいだけの方も、お気軽にどうぞ。



💭 こんなモヤモヤ、ありませんか?

家づくりって、考えれば考えるほど悩みが増えていきませんか?

・「予算、正直どこまで出していいのか分からない…」
・「この土地で本当に大丈夫?」
・「間取り、これで後悔しないかな…」
・「建て替えとリノベーション、結局どっちがいいの?」
・「親がひとりになって、そろそろ同居のことも考えないと…」
そんな”言葉にできなかったモヤモヤ”を、ひとつずつ一緒に整理していく。
それが「家づくりなんでも相談会」です。


✅ こんな方におすすめ

✓ 高槻市で家を建てたい・建て替えたいと考えている方
✓ 情報収集はしているけど、結局何から決めればいいか迷っている方
✓ 建て替えかリノベーションか、決めきれずにいる方
✓ 親のこれからを考えて、同居や二世帯住宅も選択肢に入れている方
✓ 「営業されそうで一歩が踏み出せない…」という方



🔨 相談会でできること

お金のこと:資金計画、住宅ローンの考え方
土地のこと:高槻エリアでの土地探しのポイント
間取りのこと:暮らし方に合わせたプランづくり
建て替え or リノベーション:それぞれのメリット・デメリット
同居・二世帯のリアル:それぞれのご事情に合わせた進め方、良かった例・気をつけたい例
などなど、家づくりに関することならなんでもOKです。
※営業トークなし、ヒアリング中心の個別相談です。

👤 ご相談を担当するのは、woodplus代表 武下 良太

woodplus代表 武下良太
もともとは設計事務所で設計を担当。
ですが「本当にお客様が満足できる家をつくるには、設計だけじゃなく家づくりの”すべて”を知る必要がある」と思い立ち、まさかの大工に弟子入り。
現場のリアルを何年も経験したのち、woodplusを設立しました。
設計と現場、両方を知っているからこそ話せることがあります。
図面の話だけじゃなく、「実際どうなの?」というリアルな本音でお答えします。


📩 まずは、話してみませんか?

一人で、あるいはご夫婦だけで抱え込まず、まずは話してみませんか? どんな些細なことでも大丈夫。あなたの”モヤモヤ”、聞かせてください。 「まだ何も決まっていない」その段階からで大丈夫です。 無理な営業や勧誘は一切ありません、ただじっくりお話を聞かせていただくだけです。 この夏、家づくりの一歩を、woodplusと一緒に踏み出してみませんか?

【価格は高いのに選ばれる訳】注文住宅が建売より多く建てられている、そのわけをご紹介します!」というテキストとwoodplusのロゴ。背景には閑静な住宅街の戸建て住宅が立ち並んでいる。

【価格は高いのに選ばれる訳】注文住宅が建売より多く建てられている、そのわけをご紹介します!

2026.07.13

こんにちは。
高槻市の工務店、woodplus(株式会社武建築工房)代表の武下です。

家づくりのご相談の中でも、「注文住宅と建売住宅、どちらがいいのか」というお悩みは特によくいただきます。「注文住宅は高いし、時間もかかる。建売なら早く住めるし、価格も分かりやすい」――そう感じてご夫婦で意見が分かれることは少なくありません。
この記事では、注文住宅と建売住宅の違いを整理し、公的なデータも交えながら、どちらがどんなご家庭に向いているのかを丁寧にお伝えします。一生に一度になることが多い住まいの選択だからこそ、納得して進めるための判断材料としてお役立てください。

白い外壁と木目のアクセントが調和する、キューブ型のモダンな注文住宅の外観。




建売住宅と注文住宅、何が違うのか


建売住宅は「すでに完成した、または仕様が決まった家に、暮らしを合わせていく」住まいで、注文住宅は「ご家族の暮らし方に合わせて、家のかたちを一からつくっていく」住まいです。この違いを理解することが、比較検討の出発点になります。

家に暮らしを合わせるか、暮らしに家を合わせるか


建売住宅は、土地と建物がセットで販売され、間取りや仕様があらかじめ決まっています。価格や完成イメージが分かりやすく、入居までの期間も短いことが多いのが特徴です。
一方、注文住宅は、土地探しから間取り、設備、素材まで、ご家族の希望に合わせて一つひとつ決めていきます。

たとえば
「キッチンから子どもの様子が見えるようにしたい」
「在宅勤務用の書斎がほしい」
「ランドリールームと家事動線をひとまとめにしたい」
といった、暮らし方そのものに合わせた設計ができる点が、建売住宅との大きな違いです。同じ予算であっても、何にお金をかけ、何を省くかをご家族自身で選べることも、注文住宅ならではの特徴といえます。建売住宅では難しい、断熱性能や耐震性能の細かな仕様まで踏み込んで選べる点も、注文住宅の大きな違いのひとつです。

無垢材の床と勾配天井が開放感を演出する、ナチュラルテイストの対面キッチン付きLDK。


決められること・決められないことの違い


建売住宅は完成済み、または建築中であることが多く、間取りや設備の変更は基本的にできません。これは「迷う時間を減らせる」というメリットでもあります。

注文住宅は、自由度が高い分、決めることも多く、打ち合わせ回数や検討期間は建売住宅より長くなる傾向があります。私たちのお客様の中にも、「自由に決められるのは嬉しいけれど、決めることが多くて大変だった」という声と、「自分たちで一つひとつ決めたからこそ、住んでからの満足度が高い」という声、両方をよくお聞きします。

どちらの感想も自然なものであり、注文住宅を検討するうえでは、決めることの多さをあらかじめ理解しておくことが安心につながります。打ち合わせ回数に制限がない住宅会社を選んだり、納得できるまで何度でも相談できる体制を整えておくことで、決めることの多さを負担ではなく、楽しみとして進めやすくなります。

図面や住宅模型、豊富な建材サンプルを見ながら行う、家づくりの打ち合わせ風景。


▶ 工期や入居までの流れの違い


建売住宅は、契約から入居までの期間が比較的短く、転勤や子どもの進学時期など、入居時期が決まっている方に向いています。注文住宅は、土地探し・設計・打ち合わせ・着工・引き渡しという工程を経るため、契約から入居まで半年から1年程度が目安とされています(土地探しから始める場合や、間取り・仕様の検討状況によっては、さらに期間が必要になることもあります)。どちらが良い・悪いではなく、ご家庭のスケジュールや希望に合わせて選ぶことが大切です。

上棟を終え、木造軸組工法の丈夫な柱や梁が組み上がった建築中の住宅構造。




それでも、価格が高い注文住宅を選ぶ人が多い理由


注文住宅は建売住宅に比べて費用負担が大きい傾向にありますが、公的データを見ると、持ち家として建てられている住宅の数は、建売住宅よりも注文住宅の方が多いという実態があります。


▶ 着工データに見る「注文住宅」の存在感


国土交通省の建築着工統計調査によると、2025年(令和7年)の新設住宅着工戸数のうち、持家(建築主が自分で居住するために建てる住宅で、一般的に注文住宅を指す統計区分です)は201,285戸であったのに対し、分譲一戸建て住宅(建売住宅)は115,935戸でした。戸数だけで単純に優劣を語ることはできませんが、価格面で負担の大きい注文住宅が、建売住宅を上回る戸数で建てられているという事実は、家づくりを検討するうえで知っておきたいデータのひとつです。

新設住宅着工戸数自体は近年減少傾向にありますが、その中でも持家(注文住宅)が一定の存在感を保ち続けている点は注目に値します。住宅取得を考える世帯の人口そのものが減少していく中でも、注文住宅という選択肢が一定の支持を集め続けている背景には、「価格以上に大切にしたいもの」を求める方が多いことがうかがえます。


▶ 資金面のデータからわかること


住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2024年度)」によると、所要資金の平均は、注文住宅が3,936万円、土地付注文住宅が5,007万円であったのに対し、建売住宅は3,260万円でした。また、フラット35の利用割合を融資区分別に見ると、注文住宅(土地付注文住宅・注文住宅)が34.9%と最も多くなっています。
価格だけを見れば建売住宅の方が抑えやすい傾向にありますが、それでも多くのご家庭が、費用負担の大きい注文住宅を選んでいるという実態が、このデータから読み取れます。
なお、これらの金額は全国平均であり、地域や土地条件によって差がありますので、あくまで目安としてご参考ください。高槻市周辺のエリアでも、土地の坪単価や建物の仕様によって総額は大きく変わりますので、エリアごとの相場感は個別にご確認いただくことをおすすめします。


▶ なぜ費用負担をしても注文住宅を選ぶのか


私たちが家づくり勉強会や個別相談でお話を伺う中でも、「価格だけで決められなかった」というお声をよく耳にします。理由として多いのが、「家族の暮らし方に合わせた間取りにしたい」「性能や素材にこだわりたい」「自分たちで選んだという納得感を持って暮らしたい」という想いです。住宅は一生のうちに何度も選び直せるものではありません。

だからこそ、価格だけでなく「自分たちで決めた家に愛着を持って暮らせるかどうか」を判断軸に加える方が多いと感じています。実際に、性能や素材にこだわって建てられた住まいは、住み始めてからも手入れをしながら大切に使い続けたいという気持ちにつながりやすく、結果として長く愛着を持って暮らせる住まいになりやすいと感じています。
高槻市やその周辺エリアでご相談をお受けする中でも、子育て世帯のご夫婦から「自分たちで考えた間取りだからこそ、暮らしながら手をかけていきたい」というお話をいただくことが多く、価格だけでは測れない満足感があるように感じています。

無垢材の床と白い壁に囲まれた、自然光が差し込むリビングでくつろぐ夫婦。




どちらが向いているのか、ご夫婦のタイプ別に考える


建売住宅にも注文住宅にも、それぞれ向いているご家庭の特徴があります。どちらが優れているということではなく、ご夫婦の暮らし方や価値観に合わせて選ぶことが、後悔のない住まい選びにつながります。


▶ 建売住宅が向いているご家庭の特徴


入居時期が決まっている方、初めての住まい選びで総額や完成イメージを早めに把握したい方、打ち合わせにかける時間をできるだけ抑えたい方には、建売住宅が向いている場合があります。完成した実物を見て判断できる安心感も、建売住宅ならではの良さです。

似た外観デザインの戸建てが規則正しく立ち並ぶ、閑静な分譲住宅地の街並み。


▶ 注文住宅が向いているご家庭の特徴


「キッチンを中心にした回遊動線にしたい」「在宅ワークのための書斎がほしい」「家族の成長に合わせて間取りを変えられるようにしたい」など、暮らし方に合わせた間取りを実現したい方や、断熱性能・耐震性能など住宅性能にこだわりたい方には、注文住宅が向いています。

また、「自分たちで選んだ家だからこそ、住むほどに愛着が深まる」という暮らし方を大切にしたいご夫婦にも、注文住宅は選ばれやすい傾向にあります。土地から検討する場合は、学区や生活圏、周辺環境まで含めて選べることも、注文住宅ならではの魅力です。
共働きのご夫婦であれば家事動線を重視した間取り、在宅勤務が多いご家庭であれば書斎や音への配慮など、暮らし方によって優先したいポイントは大きく異なります。

無垢材の床と木目の下がり天井が美しい、庭の緑を望む開放的なアイランドキッチンのあるLDK。


▶ 判断に迷ったときに考えたい視点


迷ったときは、「価格」だけで比較するのではなく、「入居までの時間」「間取りの自由度」「住んでからの暮らし方」の3つの視点で整理してみることをおすすめします。どれを優先するかはご家庭によって異なりますので、ご夫婦で話し合いながら優先順位をつけていくことが、納得感のある選択につながります。

たとえば「子どもの入学に間に合わせたい」という事情があれば建売住宅が現実的な場合もありますし、「数年先まで見据えた暮らしやすさを重視したい」という場合は、注文住宅でじっくり検討する方が納得につながりやすいでしょう。
また、建売住宅を見学してから「やはり自分たちの暮らし方に合わせたい」と注文住宅に気持ちが傾くご夫婦もいらっしゃいますので、どちらか一方に決めつけず、両方の住まいを実際に見比べてみることも判断の助けになります。

付箋やToDoリストを使って手帳に日々のスケジュールやアイデアを書き込んでいる様子。




注文住宅を選ぶ前に知っておきたい注意点と進め方


注文住宅は自由度が高い分、進め方を誤ると予算超過や打ち合わせの長期化につながることがあります。事前に流れと注意点を把握しておくことで、無理のない家づくりが可能になります。


▶ 注文住宅でよくある失敗・後悔


現場でよくご相談いただく失敗例として、「打ち合わせを進めるうちに、当初の予算を大きく超えてしまった」「標準仕様とオプションの境界が分からないまま契約してしまった」「優先順位を決めずに進めた結果、本当にこだわりたかった部分にお金をかけられなかった」というケースがあります。また、「外構や家具・カーテンなどの費用を見込んでいなかった」というお声もよくいただきます。
これらは、建物本体以外にかかる費用を含めた総予算を、最初の段階で整理しきれていないことが原因になりやすいポイントです。

項目や金額が詳細に記載された見積書と電卓を用いて、費用を確認している様子。



▶ 予算超過を防ぐための考え方


予算超過を防ぐには、「外せないこと」と「できれば叶えたいこと」を最初に整理し、優先順位をつけておくことが有効です。標準仕様で満足できる部分と、オプションでこだわりたい部分を分けて検討することで、限られた予算の中でも納得感のある配分がしやすくなります。
よく使う場所、汚れやすく手間がかかる場所から標準仕様を確保し、見せ場となる部分だけをオプションで強化する、という順番で考えると、迷いにくくなります。

なお、住宅ローンの金利や各種補助金・減税制度は変更される場合がありますので、検討時点での最新情報を、金融機関や自治体の公式情報で確認することをおすすめします。


▶ 納得して進めるための最初の一歩


注文住宅は決めることが多いからこそ、最初に「何を大切にしたいか」を整理しておくことが、後悔のない家づくりへの近道になります。
完成見学会や構造見学会、すでに住まれている方の声を聞けるOB宅見学会など、実際の住まいや工事中の様子を見る機会を活用しながら、ご自身たちのペースで情報を集めていくことをおすすめします。資金計画について学べるセミナーや個別相談も、漠然とした不安を具体的な判断材料に変える助けになります。



この記事のまとめ


建売住宅は「家に暮らしを合わせる」住まい、注文住宅は「暮らしに合わせて家をつくる」住まいです。価格面では負担が大きくなりやすい注文住宅ですが、公的データを見ると、多くのご家庭が費用負担を受け入れてでも、自分たちの暮らしに合った住まいを選んでいる実態があります。
どちらが正解ということはなく、ご夫婦にとって大切にしたい暮らし方を基準に選ぶことが、納得できる住まい選びにつながります。まずは情報を整理することから、家づくりの一歩を踏み出してみてください。

無垢材の床と化粧柱が特徴的な広々としたLDKで、室内を指差しながら見学する夫婦。


※本記事は2026年6月末から7月初旬時点の情報をもとに作成しています。制度や金利、補助内容、統計データなどは今後変更される場合がありますので、最新情報は各公的機関・金融機関の公式情報をご確認ください。




引用元・参照元


・国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)について
 https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001350.html

・住宅金融支援機構「2024年度【フラット35】利用者調査
 https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/2024.html




よくある質問<FAQ>


Q1. 注文住宅と建売住宅、結局どちらが安く済みますか?

A. 一般的には建売住宅の方が総額を抑えやすい傾向にあります。ただし、土地条件や仕様、地域によって差があり、個別の条件によって異なります。事前に資金計画を立てて比較することをおすすめします。

Q2. 注文住宅は本当に時間がかかりますか?


A. 土地探しから設計、打ち合わせ、着工、引き渡しまでの工程があるため、建売住宅に比べて時間がかかる傾向にあります。契約から半年〜1年程度が目安とされていますが、土地探しから始める場合はさらに期間が必要になる場合があります。ですが、多くの方にとって一生に一度の家づくりですので、この期間を精一杯楽しんでいただけるようお手伝いいたします!

Q3. 注文住宅にすると、必ず予算オーバーになりますか?


A. 必ずしもそうとは限りません。優先順位を最初に整理し、標準仕様とオプションの境界を把握しておくことで、予算内に収めやすくなります。とはいえ、打ち合わせの進め方によって金額が変動しやすいのも事実ですので、事前確認が大切です。

Q4. 建売住宅を見てから、やっぱり注文住宅にすることはできますか?


A. 契約前であれば検討の変更は可能です。建売住宅は仕様や間取りが決まっているため、契約後の大きな変更は基本的に難しい場合が多いです。間取りや仕様にこだわりたい場合は、契約前に両方を比較検討されることをおすすめします。


woodplusの施工エリアについて


弊社woodplus(株式会社武建築工房)は、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、交野市など、事務所から車で1時間圏内のエリアを中心に家づくりのご相談を承っています。施工可能エリアの詳細は、お気軽にお問い合わせください。



ご相談・お問い合わせについて

「注文住宅と建売住宅、どちらが自分たちに合っているか分からない」という段階でも構いません。
woodplusでは、家づくり勉強会や個別相談を通じて、ご夫婦それぞれの暮らし方に合わせた選び方をご一緒に整理しています。
まずは情報収集からでも大丈夫です。気になる点があれば、お気軽にご相談ください。

【ブログ更新】 📝価格は高いのに選ばれる訳。
注文住宅が建売より多く建てられているわけとは

2026.07.13

「注文住宅と建売、結局どちらがいいの?」
そんなお悩みに答えるコラムを公開しました。

価格は建売より高くなりがちなのに、なぜ多くのご家庭が注文住宅を選ぶのか。
国のデータや実際のお客様の声をもとに、その理由をわかりやすくまとめています。

ご夫婦のタイプ別に「向いている住まい」もご紹介していますので、これから家づくりを考え始める方にぴったりの内容です。
ぜひご一読ください。


👉ブログを読

【ブログ更新】 📝
バルコニー、本当に必要?後悔しないための選び方をまとめました。

2026.07.09

バルコニーを「とりあえずつけておこうかな」と迷っていませんか?

バルコニーが必要かどうかは、実はご家庭の暮らし方によって変わります。
外干し派にはメリット大。
でも乾燥機や室内干し派には、意外と出番がないことも。
使われないバルコニーが物置化したり、維持費がかかって後悔するケースも少なくありません。

バルコニーにかける費用や面積を、収納や居室に使う選択肢も十分アリです。
「つける・つけない」どちらが正解かは、ライフスタイル次第。
ぜひ一度、わが家に本当に必要かを考えるきっかけにしてみてください。

👉バルコニーの選び方を詳しく読む

【設置後に後悔も】バルコニーは本当に必要か、ライフスタイルに合わせた選び方とは?と記載された、2階バルコニーに洗濯物が干されている黒い外壁と木目調アクセントの住宅外観。

【設置後に後悔も】バルコニーは本当に必要か、ライフスタイルに合わせた選び方とは?

2026.07.09

こんにちは。高槻市の工務店、woodplus代表の武下良太です。

早速ですが、「ベランダやバルコニーは、本当に必要なのでしょうか。」
家づくりの打ち合わせの中で、こうしたご質問をよくいただきます。「とりあえずつけておいた方が安心かもしれない」と考える方もいれば、「洗濯物を干すためだけに、わざわざ大きなスペースを設ける必要があるのだろうか」と疑問に感じる方もいらっしゃいます。

実際には、ベランダ・バルコニーが必要かどうかは、ご家庭の暮らし方によって答えが変わってきます。「つけない」という選択を否定するものでも、「つける」ことを推奨するものでもなく、この記事では、つける場合とつけない場合、それぞれの特徴やよくある後悔の事例を整理しながら、ご夫婦にとって納得のいく判断をするための考え方をお伝えします。

黒いガルバリウム鋼板調の外壁と木目調のアクセントがモダンな2階建て住宅の外観。2階のインナーバルコニーには洗濯物が干されている。




ベランダ・バルコニーをつける主な理由とメリット


ベランダやバルコニーは、洗濯や趣味の用途だけでなく、住まい全体の快適性や暮らしの広がりを支える役割も持っています。まずは、設置することでどのような暮らしが実現できるのか、メリットの面から整理してみましょう。

▶ 洗濯物を干す場所として


家づくりのご相談の中で、最も多く挙がる理由が「洗濯物を干すため」です。屋外でしっかりと日光や風に当てて乾かしたいというご希望は、今でも根強くあります。特に布団やシーツ、タオルケットなど大きな洗濯物は、室内干しでは乾きにくいと感じる方も少なくありません。また、共働きのご家庭でも、休日にまとめて外干しをするスタイルを希望される方もいらっしゃいます。

黒い金属製の手すりが設置されたバルコニー。手すりにはベージュと白のボーダー柄の布団が干されており、日差しを浴びている。



▶ 屋外でくつろぐ・趣味のスペースとして


ベランダやバルコニーは、洗濯以外にも、家庭菜園やガーデニング、お子様の小さなプール遊び、休日にコーヒーを飲みながらくつろぐ時間など、屋外を楽しむスペースとしても活用されています。リビングと隣接させることで、室内と屋外がゆるやかにつながり、暮らしに広がりや開放感が生まれるという声も多くいただきます。マンションから戸建てへの住み替えを検討されている方の中には、「庭はまだ管理に自信がないけれど、屋外の空間は持ちたい」という理由でバルコニーを希望されるケースもあります。

木目調の軒天とウッドデッキが落ち着いた雰囲気を演出するインナーバルコニー。テーブルセットと観葉植物が置かれ、豊かな緑を望むくつろぎの空間。



▶ 採光・通風・防犯面での役割


設計の観点では、バルコニーを2階の窓まわりに設けることで、採光や通風を確保しやすくなる場合があります。また、間取りや法規との兼ね合いによっては、バルコニーが避難経路の一部として計画されることもあります。

なお、一般的には、外壁から突き出た奥行きがおおむね2m程度までの部分は、建築基準法上の床面積に算入されない取り扱いとされていますが、開放性の条件(手すりの高さなど)や自治体ごとの運用によって判断が異なる場合があります。容積率や建ぺい率にも関わる重要な部分ですので、計画段階で設計担当者に必ず確認しておくと安心です。

一口に「バルコニー」といっても、外壁から張り出す跳ね出しタイプ、1階の屋根の上を利用するタイプ、室内的に囲われたインナーバルコニーなど、いくつかの形があります。インナーバルコニーは、外からの視線や雨の吹き込みを抑えやすい一方で、その分の床面積が建物のコストに反映されやすいという特徴もあります。形状によって費用感や使い勝手が変わってきますので、「なんとなくバルコニー」ではなく、どのタイプが暮らしに合うかまで含めて検討することをおすすめしています。
また、ベランダ・バルコニーを設けない場合でも、外壁や軒の出を工夫することで、見た目のバランスや雨仕舞いに配慮した外観デザインに仕上げることも可能です。

グレーの落ち着いた外壁に、玄関周りと2階バルコニーの木目調仕上げが温かみを添えるモダンな外観デザイン。ビルトインガレージを備えている。

高槻市をはじめとする弊社の施工エリアは、夏は気温が高くなりやすく、冬は底冷えを感じやすい内陸性の気候が特徴です。夏場は日差しや西日への配慮、冬場は洗濯物の乾きにくさへの対策など、地域の気候を踏まえてバルコニーの方位や軒の出を検討することも、快適に使い続けるためのポイントになります。


「もったいない」と感じやすいケース


一方で、実際の暮らしの中では、ベランダ・バルコニーが十分に活用されず、結果としてコストや掃除の手間だけが残ってしまうケースも見られます。ここからは、「もったいなかった」と感じやすい具体的な状況を見ていきます。

▶ 洗濯物を乾燥機・室内干しで済ませる場合


近年は、乾燥機付き洗濯機やランドリールームでの室内干しを基本とするご家庭が増えています。花粉や黄砂、PM2.5、近隣からの視線や防犯面への配慮から、そもそも外干しをしないというご家庭も珍しくありません。
私たちの相談の場でも、「外干しの予定はないけれど、なんとなく必要な気がして」という理由だけでバルコニーを希望されるケースに出会うことがあります。このような場合、洗濯のためだけに広いバルコニーを確保する必要性は、低くなる可能性があります。
実際にお引き渡し後しばらくしてから、「結局バルコニーは物置のようになってしまった」というお話をいただくこともあり、計画段階での確認の大切さを感じる場面のひとつです。

昇降式の室内物干しと壁掛け衣類乾燥機を備えた機能的なランドリールーム。木目調のカウンター収納とグレーの床材が清潔感のある空間を演出している。


防犯面についても、あわせて考えておきたいポイントです。
2階のバルコニーは、足場になる物干しや室外機の配置によっては、侵入経路として利用されてしまうリスクが指摘されることがあります。対策としては、バルコニーに出入りしない隣接する小窓への面格子の設置、人感センサー付きの照明、バルコニーに面した窓への防犯ガラスの採用などを組み合わせることで、一定の安心感を高められます。
ただし、こうした対策にはそれぞれ費用がかかるため、予算とあわせて検討しておくとよいでしょう。

すりガラスの引き違い窓に設置された黒い金属製の縦型面格子。外からの視線を遮りつつ、防犯性を高めるシンプルなデザイン。



▶ 防水・メンテナンスの負担


見落とされやすいのが、防水やメンテナンスの負担です。
ベランダやバルコニーは屋外に張り出した構造のため、防水処理が欠かせません。経年とともに防水層の劣化が進むと、補修やメンテナンスが必要になる場合があります。

具体的な費用は、仕様や劣化の状況、使用している防水材の種類によって異なりますので、ここで一概に金額をお伝えすることはできませんが、定期的な点検や、将来的な補修の可能性をあらかじめ想定しておくことは大切です。
実際に「使っていないバルコニーのために、数年後にメンテナンス費用がかかると知って驚いた」というお声をいただいたこともあります。また、手すり際や床の隅は、ほこりや落ち葉がたまりやすく、こまめな掃除が必要になる点も、見落とされがちなポイントです。

グレーの防水加工が施されたバルコニーの床面。排水口や側溝の周辺には落ち葉が落ちており、定期的なメンテナンスの必要性が伺える。



▶ 床面積・コストの使い道として再検討する価値


延床面積や建築費には、当然ながら限りがあります。ベランダ・バルコニーにあてる分の面積や費用を、室内の収納や居室の広さ、書斎やワークスペースなど、別の用途に振り分けるという選択肢も検討の余地があります。「とりあえずつける」のではなく、「その面積・予算を他に使った場合と比べて、どちらがご家庭にとって暮らしやすいか」という視点で比較してみることが、後悔の少ない判断につながります。



▶ 必要かどうかを判断するための視点


ここまで見てきたように、ベランダ・バルコニーの要否は、ご家庭の暮らし方や、将来の変化によって異なります。どちらが正解ということではなく、ご夫婦にとっての優先順位を整理することが、判断の出発点になります。

▶ ライフスタイルから考える


まずは、現在および将来の洗濯スタイルを、できるだけ具体的にイメージしてみましょう。外干しを基本にしたいのか、乾燥機や室内干しスペースで完結させたいのかによって、必要なスペースの考え方は大きく変わってきます。
共働きで時間が限られているご家庭ほど、洗濯にかける手間を減らす設計が好まれる傾向もあります。逆に、休日は天気の良い日に外でゆっくり洗濯物を干したいという方にとっては、バルコニーが暮らしの満足度を高める要素にもなり得ます。

▶ 将来の暮らしの変化を見据える


お子様の成長や働き方の変化によって、洗濯物の量や干し方が変わることもあります。今だけでなく、5年後・10年後の暮らし方も想像しながら検討すると、判断の精度が上がります。
たとえば、お子様が成長してスポーツ用品やシーツ類の洗濯が増える時期には、外干しスペースの使い方が変わることもあります。

反対に、将来的に家事を効率化したいという考えから、当初予定していたバルコニーを取りやめ、室内のランドリースペースを充実させるご家庭もあります。平屋をご検討の場合は、2階バルコニーという選択肢自体がなくなる一方で、庭やデッキなど別の屋外スペースで同じ役割を補うことができないか、あわせて検討してみるとよいでしょう。

天井付けの室内物干し竿に、部活動のユニフォームや柔道着、タオルなどが密集して干されている様子。日々の洗濯物の多さが伺える。


▶ 代替案という選択肢


外干しのスペースが欲しい場合でも、必ずしも大きなバルコニーである必要はありません。最小限のサイズの物干しスペースや、サンルーム、室内に設けるランドリースペースなど、目的に応じた代替案を比較検討することも一つの方法です。
たとえば、ファミリークローゼットと隣接させたランドリールームを設け、洗濯から乾燥、収納までを一室で完結させる間取りも人気があります。それぞれの方法には費用面・使い勝手の面で特徴がありますので、ご自身の暮らし方に近いものを選んでいただくことをおすすめします。

洗濯機置き場に大容量の木目調ファミリークローゼットが隣接するランドリールーム。奥の洗面室まで直線で繋がる、家事動線に優れた間取り。




ベランダ・バルコニーを後悔なく選ぶための進め方


ベランダ・バルコニーの要否は、間取り全体とのバランスの中で検討することが大切です。最後に、後悔のない選択をするための進め方を整理します。
検討の際は、次のような点を一度書き出してみることをおすすめしています。

• 外干しを基本にしたいか、室内干しや乾燥機で完結させたいか
• 屋外でくつろぐ時間や、子どもと過ごす時間を持ちたいか
• 防水メンテナンスや掃除の手間をどこまで許容できるか
• バルコニーにかける予算を、他のスペースに振り分けた場合どうなるか

優先順位を整理する


まずは、「外せないこと」と「できれば叶えたいこと」を分けて整理すると、判断がしやすくなります。
洗濯動線、収納量、居室の広さ、屋外で過ごす時間の有無など、他の希望と合わせて優先順位をつけてみましょう。私たちが行っている家づくり勉強会でも、こうした優先順位の整理を一緒に行う時間を設けています。お子様連れでの相談にも対応できる環境を整えていますので、まずは肩の力を抜いてご相談いただければと思います。

▶ 設計士など第三者の視点を取り入れる


ご夫婦だけで判断に迷う場合は、設計担当者に率直に相談してみることもおすすめです。
間取り全体のバランスや費用配分を踏まえたうえで、ベランダ・バルコニーをつけたプランと、つけずに他のスペースを充実させたプランを比較しながら検討できると、納得感のある判断につながりやすくなります。実際の図面やパース、可能であれば構造見学会などで実物のスケール感を確認しながら検討すると、イメージのズレを防ぎやすくなります。
なお、こうした判断は一度決めたら変えられないものではなく、設計の途中段階であれば見直しが可能な場合もありますので、迷ったときは早めに相談していただくことをおすすめします。

木製のダイニングテーブルで住宅の平面図を広げ、図面を指差し合いながら家づくりの打ち合わせをしている夫婦の様子。




この記事のまとめ


ベランダやバルコニーは、つけることが正解、つけないことが正解というものではありません。
洗濯物の干し方、屋外で過ごす時間の有無、メンテナンスの負担をどう考えるかによって、必要性は変わってきます。大切なのは、ご家庭の暮らし方に合わせて、面積や費用の使い道を含めて検討することです。
迷われた際は、設計担当者と一緒に複数のプランを比較しながら、ご夫婦にとって納得のいく形を見つけていただければと思います。

※本記事は2026年6月末時点の情報です。建築基準法上の取り扱いや自治体ごとのルール、仕様・費用感などは変更される場合があります。詳細は計画段階で設計担当者に個別にご確認ください。



引用元・参照元


本記事は、woodplus(株式会社武建築工房)における家づくり相談・打ち合わせの実務経験をもとに作成しています。あわせて、以下の公的機関の公開情報を確認し、本文の記述に反映しています。

・国土交通省「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」(建築基準法改正に関するリーフレット
https://www.mlit.go.jp/common/001500388.pdf

・国土交通省「床面積の算定方法に関する技術的助言(旧建設省通達 住指発第115号関連)」
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/097/81000025/81000025.html

・神奈川県建築行政連絡協議会「神奈川県建築基準法取扱基準 ― 面積、高さ、階数等の算定方法 ―」(バルコニーの床面積算定における自治体運用の参考として)
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/24926/390829.pdf

※建築面積・容積率・床面積の算入条件、建築確認手続きの要否は、自治体や敷地条件、設計内容によって異なります。本記事の内容は一般的な傾向を整理したものであり、個別の判断は必ず自治体の建築指導課または設計担当者にご確認ください。


よくある質問(FAQ)


Q1. ベランダとバルコニーは何が違うのですか?


A. 一般的に、屋根がなく外壁から張り出した形のものを「バルコニー」、1階の屋根部分などを利用したものを「ベランダ」と呼ぶことが多いですが、明確な定義は会社や地域によって異なる場合があります。本記事では、どちらも屋外の干し場・テラス的なスペースとして扱っています。

Q2. バルコニーをなくすと、建築費は安くなりますか?


A. バルコニーの規模や仕様によって影響は異なるため、一概には言えませんが、面積や防水・手すりなどの仕様分のコストを、他の部分に振り分けられる可能性はあります。具体的な金額は、プランごとの見積りでご確認いただくことをおすすめします。

Q3. 後からバルコニーを増設することはできますか?


A. 構造や外壁の仕様によっては、増設が難しい場合や、別途大掛かりな工事が必要になる場合があります。また、2025年4月に施行された建築基準法の改正により、木造2階建て住宅などの多くが「新2号建築物」に区分され、増築や一定規模以上のリフォームの際にも建築確認申請が必要になるケースが増えています(出典:国土交通省)。これにより、後から増設する場合の手続きや費用負担が、以前より大きくなる可能性があります。将来的に増設を検討する可能性が少しでもある場合は、新築時の設計段階で相談しておくと、選択肢を残しやすくなります。

Q4. バルコニーの防水メンテナンスは、どのくらいの頻度で必要ですか?


A. 使用している防水材の種類や環境によって異なるため、断定はできませんが、定期点検のタイミングで状態を確認し、必要に応じて補修を行うことが一般的です。気になる症状(ひび割れ、水たまりなど)があれば、早めに相談することをおすすめします。

Q5. 平屋にもバルコニーは設置できますか?


A. 構造上は設置可能な場合もありますが、平屋の場合は庭やデッキなど、地面に近い屋外スペースで同様の役割を果たせることも多いため、間取り全体とのバランスを見ながら検討することをおすすめします。


woodplusの施工エリアについて


弊社woodplus(株式会社武建築工房)では、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、片野市周辺エリアなど、事務所から車で1時間圏内を主な施工エリアとしてご相談を承っています。
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ベランダ・バルコニーの要否を含め、間取りや資金計画など、家づくりに関するお悩みは、お一人おひとり状況が異なります。
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気になる点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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持ち家か賃貸か、迷っているあなたへ|2026年最新情報をまとめました

2026.07.06

「持ち家と賃貸、結局どっちが得?」というご相談をよくいただきます。
実は、この問いに明確な正解はありません。住まいの満足度は、金額だけでは決まらないからです。

今回のブログでは、2026年の住宅ローン金利や税制の最新情報を踏まえつつ、「お金」と「暮らし方」の両面から整理しました。賃貸の家賃上昇や、高齢期に賃貸を借りにくくなる事情など、意外と知られていない事実にも触れています。焦って決める前に、ぜひ判断材料として読んでみてください。

👉続きはブログでチェック

「【損得だけでは選べない】持ち家VS賃貸、答えが出ない論争への向き合い方とは?」というタイトルテキストとwoodplusのロゴ。背景には戸建て住宅とマンションが混在する閑静な住宅街の風景が広がっている。

【損得だけでは選べない】持ち家VS賃貸、答えが出ない論争への向き合い方とは?

2026.07.06

こんにちは。
高槻市の工務店、woodplus代表の武下良太です。

「持ち家と賃貸、結局どちらが得なのだろう」。家づくりを考え始めたご夫婦から、こうしたご相談をよくいただきます。インターネットを調べても、持ち家派・賃貸派、それぞれの立場から熱心な意見が並び、かえって迷いが深くなってしまうことも少なくありません。

今回は、住宅ローン金利や税制など最新の情報を踏まえながら、持ち家と賃貸を「お金」と「暮らし方」の両面から整理します。読み終えるころには、ご夫婦にとっての判断軸が見えてくるはずです。

戸建て住宅と中層マンションが混在する、並木のある閑静な住宅街の街並み。




持ち家VS賃貸に「正解」が出ない、本当の理由


結論からお伝えすると、持ち家と賃貸のどちらが良いかという議論に明確な答えが出ないのは、当然のことです。なぜなら、住まいの満足度は支払う金額の大小だけでは測れないからです。

持ち家と賃貸を比較する記事の多くは、生涯コストのシミュレーションを示し、どちらが何百万円お得かという結論を出そうとします。もちろん資金計画はとても大切な視点ですが、それだけで暮らしの満足度が決まるわけではありません。

国土交通省が実施した住生活総合調査では、持ち家・借家それぞれの満足度や不満率が世帯類型ごとに異なることが示されています。たとえば子育て世帯では、希望する広さの賃貸住宅が見つかりにくいことが不満につながりやすい傾向が見られました。つまり、同じ「賃貸」という選択肢でも、世帯構成やライフステージによって感じ方は大きく変わるのです。

木の温もりを感じる無垢材風のフローリングのリビングで、床に座って絵本を読む母親と子ども。

弊社の相談の現場でも、同じ年収・同じ家族構成のご夫婦であっても、持ち家を選ぶ方と賃貸を選び続ける方、どちらもいらっしゃいます。どちらが正しいということではなく、それぞれのご家族が大切にしたい暮らし方が違う、というだけのことだと感じています。

実際に、高槻市周辺で家づくりをご検討中のご夫婦からは、「親世帯が近くに住んでいて、この先もこの地域で子育てをしたい」というお話をよく伺います。一方で「数年後に転勤の可能性がある」「今はまだ子どもの人数や暮らし方が固まっていない」という方も少なくありません。地域に根ざして暮らす予定がある場合は持ち家を軸に検討が進みやすく、まだ先の見通しが立っていない場合は賃貸のまま様子を見るという判断も合理的です。大切なのは、世間の論争に答えを求めるのではなく、ご自身の家族の状況に当てはめて考えることだと感じています。

木目のテーブルに住宅の平面図や自然素材の家のカタログを広げ、間取りについて打ち合わせをしている様子。




お金の面から比べる|2026年の金利・税制を踏まえて


結論として、住宅ローン金利は上昇局面にあり、以前より「持ち家が有利」と単純には言いにくい環境になっています。一方で、住宅ローン減税などの支援制度は2030年まで延長されることが決定しており、条件次第では負担を抑えられる可能性もあります。最新の数字を踏まえて整理します。

住宅ローン金利の動向


2026年6月、日本銀行は政策金利を1.0%程度へ引き上げることを決定しました。これは1995年以来、約31年ぶりの水準とされています。これを受けて、変動金利は2026年10月ごろに各金融機関が0.25%程度引き上げる展開が見込まれており、すでに住宅ローンをお持ちの方にも、これから借り入れる方にも影響が及ぶ可能性があります。
一方、全期間固定金利の代表である【フラット35】も、長期金利の上昇を背景に高水準で推移しており、住宅金融支援機構の公表によると、2026年6月時点の主な金利(返済期間21〜35年)は年3.21%程度となっています。

木目のテーブルに置かれた住宅ローンの案内パンフレット、返済プランのシミュレーション資料、電卓、総合口座通帳。

金利が上がること自体は、月々の返済額に直結する大切な変化です。ただし、変動金利には返済額の急増を緩和する仕組みを設けている金融機関もあります。たとえば、5年間は返済額が変わらない「5年ルール」や、引き上げ幅を一定の範囲に抑える「125%ルール」などがその一例で、内容は金融機関ごとに異なります。
ただし、こうしたルールがあっても利息負担そのものは増えていくため、注意が必要です。また、ネット銀行を中心に、こうしたルール自体を設けていない金融機関もあります。借り入れを検討する際は、ご自身の収入や返済期間に応じて、無理のない金利タイプを選ぶことが大切です。

住宅ローン減税の変更点


2026年3月、令和8年度税制改正に関連する税制法が国会で成立し、住宅ローン減税は2030年12月31日まで5年間延長されることが正式に決まりました。控除率は0.7%が維持され、省エネ性能の高い住宅では控除期間が13年間となる仕組みも継続されています。また、19歳未満の子がいる子育て世帯や、夫婦のいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯については、借入限度額が上乗せされる優遇が引き続き設けられています。
ただし、この制度には合計所得金額2,000万円以下といった所得要件や、床面積要件など細かな条件が設けられており、対象となる住宅の省エネ性能によって借入限度額や控除期間が異なります。「自分たちの世帯がどの区分に当てはまるか」「どの程度の控除が見込めるか」は、個別の状況によって異なるため、契約前に必ず最新の情報をご確認いただくことをおすすめします。

自然光が差し込む木目のテーブルに広げられた、確定申告書や住宅ローン控除の計算明細書などの手続き書類。


賃貸のコスト構造


賃貸住宅は、毎月の家賃に加えて、契約更新料や引っ越しのたびにかかる敷金・礼金・仲介手数料などが発生します。住宅ローンのような金利上昇リスクはありませんが、家賃自体が物価や地域の相場の影響を受けて見直される場合があります。固定資産税や修繕費といった持ち家特有の支出がない点は、賃貸ならではのメリットです。くわえて、ライフステージに応じて部屋数や立地を変えやすいことも、賃貸の大きな特徴のひとつです。子育ての時期だけ広めの住まいに移り、子どもの独立後はコンパクトな住まいへ移るといった柔軟な選び方ができます。

ベージュ系のタイル張りの外壁とガラスのバルコニー手すりを備えた、植栽が整えられた4階建てマンションの外観。

※本記事は執筆時点の情報です。金利や税制、補助制度などは変更される場合がありますので、最新情報は必ず公式情報でご確認ください。



暮らし方から比べる|お金以外で大切にしたい視点


結論として、持ち家と賃貸を選ぶ際は、金額の比較だけでなく「どんな暮らしを大切にしたいか」を軸に考えることが、納得感のある選択につながります。

▶ 暮らしの自由度と安定感


賃貸の大きな魅力は、転勤や家族構成の変化があった際に、比較的身軽に住み替えられる点です。一方で持ち家は、間取りや素材を自分たちの希望に合わせてつくり込めること、住宅ローンを完済すれば老後の住居費負担を抑えやすいことが特徴です。どちらが優れているということではなく、「これから10年、20年でどんな暮らしの変化が想定されるか」を、ご夫婦で話し合っておくことが判断の助けになります。

畳敷きの和室に積み上げられた引っ越し用の段ボールとガムテープなどの梱包資材。



▶ 資産として残るか、住み続けられる安心か


持ち家は住宅ローンを完済すれば、自分たちの資産として残ります。一方で、固定資産税や経年劣化に伴う修繕費は継続的にかかります。賃貸は資産にはなりませんが、収入の変化に応じて住み替えやすいという柔軟性があります。それぞれにリスクとメリットがあるため、「将来の資産形成を重視したいか」「身軽さを重視したいか」を整理してみることをおすすめします。
ここで、持ち家VS賃貸の議論ではあまり語られない、2つの事実についても確認しておきます。

1つ目は、賃貸の家賃も上昇傾向にあるという点です。不動産情報サービス各社の調査によると、近年は都市部を中心に募集家賃の上昇が続いており、2026年に入ってからも全国の主要エリアで過去最高値を更新する動きが報じられています。「賃貸は支払額が一定だから安心」とは言い切れない状況があることは、頭に入れておきたいところです。

2つ目は、高齢期に賃貸住宅を借りにくくなる場合があるという点です。国土交通省の調査では、賃貸人(大家など)の約7割が高齢者の入居に拒否感を持っていると回答しており、主な理由として「居室内での死亡事故等に対する不安」が挙げられています。住宅セーフティネット法の改正など環境整備も進んでいますが、現時点では物件の選択肢が限られる場合があることも事実です。賃貸を選ぶ場合は、老後も含めた長期的な住まいの見通しを早めに考えておくことをおすすめします。

柔らかな日差しが差し込むリビングで、大きな窓に向かってソファに座り、外をくつろいで眺めるシニア夫婦の後ろ姿。



▶ 持ち家・賃貸、それぞれが向いている方の特徴


弊社のこれまでの相談実績から見えてきた傾向として、次のような視点が参考になります。

 • 持ち家が向いている傾向にある方:
  長くひとつの地域で暮らす予定がある、子育てのために広さや収納をしっかり確保したい、老後の住居費を抑えておきたい
 • 賃貸が向いている傾向にある方:
  転勤や転職の可能性がある、ライフスタイルがまだ固まっていない、まとまった頭金の準備よりも今の生活の柔軟性を優先したい

もちろんこれは一般的な傾向であり、最終的な判断は世帯ごとの事情によって異なります。たとえば「今は転勤の可能性があるが、5年後には地元に戻る予定が立っている」という場合は、当面は賃貸で様子を見て、見通しが立った時点で持ち家を検討するという段階的な進め方も選択肢のひとつです。

木の温もりを感じる板張りの外壁と広いウッドデッキがある住宅。緑豊かな芝生の庭で遊ぶ子どもたち。



後悔しない選び方|住宅営業の現場で感じること


結論として、持ち家か賃貸かを焦って決める必要はありません。まずはご自身の家族にとっての優先順位を整理し、判断材料をそろえることが、納得できる選択への近道です。

▶ よくある迷いと誤解


ご相談の中でよくあるのが、「金利が上がる前に急いで決めなければ」という焦りです。たしかに金利動向は資金計画に影響しますが、慌てて契約することが必ずしも良い結果につながるとは限りません。資金計画や土地条件、家族の希望を十分に整理しないまま進めてしまうと、入居後に「もっと検討すればよかった」という後悔につながるケースも見られます。

「持ち家にすれば必ず得をする」「賃貸なら自由で気楽」といった単純な思い込みも、判断を誤らせる原因になりがちです。それぞれにメリットと注意点があることを理解したうえで、ご自身の家族にとっての優先順位を考えることが大切です。
woodplusでは、こうした思い込みを否定するのではなく、なぜそう感じるのかを一緒に掘り下げながら、判断材料を整理するお手伝いをしています。

判断のための具体的な進め方


迷いを整理する第一歩としておすすめしているのが、「外せない条件」と「できれば叶えたい条件」を分けて書き出すことです。たとえば「子どもの成長に合わせて住み替えやすいこと」を優先するのか、「長く暮らせる安心できる家を持つこと」を優先するのかによって、選ぶべき方向性は変わってきます。
そのうえで、無理のない総予算を先に決め、金利タイプや返済期間ごとのシミュレーションを比較してみると、漠然とした不安が具体的な判断材料に変わっていきます。

木目のデスクで、ノートにエリアや予算、住宅の性能など「家づくりを始める前に決めておきたい条件」を書き出している手元。

woodplusでは、家づくり勉強会や個別相談の場で、資金計画から土地探しまでを含めた整理のお手伝いをしています。持ち家か賃貸かをまだ決めきれていない段階でも、現状を整理するための場としてお気軽にご利用いただけます。
「今すぐ家を建てる前提で話を聞かなければいけないのでは」と身構える必要はなく、まずは判断材料を増やすつもりで、お気軽にお越しいただければと思います。



この記事のまとめ


持ち家と賃貸、どちらが得かという議論に明確な答えがないのは、住まいの満足度が支払額だけで決まるものではないからです。2026年は住宅ローン金利が上昇局面にある一方、住宅ローン減税は2030年まで延長されることが正式に決まるなど、お金の面での状況は変化し続けています。

また、家賃の上昇傾向や、高齢期に賃貸を借りにくくなる場合があることなど、議論の中であまり語られない事実にも目を向けておくと、より納得感のある判断につながります。最新の情報をそのつど確認しながら、暮らしの自由度を優先したいのか、長く住み続けられる安心を優先したいのか、ご夫婦でじっくり話し合い、ご自身の家族にとっての優先順位を整理してみてください。
焦って結論を出す必要はありません。情報を集め、比較し、納得してから一歩を踏み出すことが、後悔のない選択につながります。



引用元・参照元


・モゲチェック「日銀追加利上げで住宅ローンはいつ上がる?2026年の変動金利予想を解説」https://mogecheck.jp/articles/show/pnl6ZzOV4BDR2k5Ra7PY

・センチュリー21スタイリッシュホーム「【2026年6月最新】変動金利1%超え時代の住宅ローン 変動・固定どちらを選ぶべき?」
https://www.c21-sh.com/topics/959784.html

・住宅金融支援機構(フラット35)「最新の金利情報:長期固定住宅ローン【フラット35】」https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top

・国土交通省「報道発表資料:住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!~既存住宅、コンパクトな住宅への支援が拡充されます~」https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000241.html

・国土交通省「住宅ローン減税」制度ページhttps://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

・SUUMOジャーナル「5年に一度の国交省の住生活総合調査、結果は持ち家志向や新築主義の減少顕著!」(出典:国土交通省「令和5年住生活総合調査の調査結果」)https://suumo.jp/journal/2025/02/19/207876/

・アットホーム株式会社「市場動向の調査データ」(全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向)
https://athome-inc.jp/news/data/market/

・国土交通省「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律※等について」(令和6年9月、高齢者に対する賃貸人の入居拒否感に関する調査結果を含む)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001708224.pdf




よくある質問<FAQ>


Q1. 金利が上がっている今、持ち家を選ぶのは不利になりますか?


A. 金利上昇は返済額に影響するため、以前より慎重な資金計画が必要です。ただし、住宅ローン減税などの支援制度も2030年まで延長されることが決まっており、有利・不利は世帯の状況によって異なります。複数のシミュレーションで比較することをおすすめします。

Q2. 賃貸のままでいることにデメリットはありますか?


A. 持ち家のような資産形成にはつながらない点に加え、家賃自体が地域や時期によって上昇傾向にあることも知っておきたい点です。また、高齢期になると、大家側の入居拒否感などから住まい探しに時間がかかる場合があることも報告されています。一方で、住み替えやすい柔軟性というメリットもあるため、一概にデメリットとは言い切れません。

Q3. 住宅ローン減税は2026年以降も使えますか?


A. 2026年3月に成立した税制関連法により、2030年12月31日まで5年間延長されることが正式に決まりました。ただし、住宅の省エネ性能や世帯区分、所得要件などによって控除内容が異なるため、個別の確認が必要です。

Q4. 持ち家か賃貸か、まだ決めきれていません。相談しても大丈夫ですか?


A. もちろん大丈夫です。woodplusの家づくり勉強会や個別相談は、契約を前提とせず、判断材料を整理する場としてもご利用いただけます。

Q5. 金利が上がる前に急いで決めるべきでしょうか?


A. 金利動向は資金計画に関わる大切な情報ですが、焦って契約することはおすすめしていません。資金計画や家族の希望を十分に整理したうえで判断することが、後悔のない選択につながります。




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弊社woodplus(株式会社武建築工房)では、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、交野市など、事務所から車で1時間圏内のエリアで家づくりのご相談を承っています。
施工可能エリアの詳細は、お気軽にお問い合わせください。



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【ブログ更新】 📝
繰り上げ返済、いつ・いくら返すのが正解?

2026.07.02

「金利が上がったから、繰り上げ返済を考えたい」そんな声が増えています。
でも、ただ早く返せばいいわけではありません。タイミングや金額を間違えると、手元のお金が足りなくなることも。住宅ローン控除との関係も、意外と見落としがちなポイントです。
今回は、フラット35を例に、繰り上げ返済の賢い使い方をわかりやすく整理しました。

シミュレーション例や注意点は、ブログ記事で詳しくご紹介しています。ぜひチェックしてみてください!

👉ブログを読む

「【いつ・いくら返す?】繰り上げ返済シミュレーションで見える、本当に賢い返し方とは?」というタイトルテキストと、利息軽減効果の推移を示す折れ線グラフ。

【いつ・いくら返す?】繰り上げ返済シミュレーションで見える、本当に賢い返し方とは?

2026.07.02

こんにちは。高槻市の工務店、woodplus代表の武下良太です。
2026年6月15日に、フラット35の金利上昇についてお伝えしましたが、今回はその続きとして「繰り上げ返済」をテーマにお話しします。

「金利が上がったから、繰り上げ返済でなんとかしたい」というお声を、最近よくいただきます。ただ、繰り上げ返済は、ただ早く返せば良いというものではありません。タイミングや金額、住宅ローン控除との関係まで踏まえて考える必要があります。
今回は、フラット35を例に、繰り上げ返済の具体的なシミュレーションと、判断時に押さえておきたいポイントを整理してお伝えします。前回の金利動向の記事とあわせてお読みいただくと、より理解が深まります。

前回の記事は以下からご覧ください

【3%台に突入?】フラット35が急上昇している今、それでも今家を建てるべき理由とは?


ナチュラルな木目のダイニングテーブルで、住宅ローン返済予定表を見ながら電卓で資金計画を立てる夫婦の後ろ姿




繰り上げ返済とは?まず知っておきたい基本のしくみ


繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、まとまった資金を元金に充てて返済することです。元金が減ることで、その分にかかるはずだった利息が軽減されます。方法は大きく「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、それぞれ向いているご家庭の状況が異なります。

▶ 期間短縮型と返済額軽減型、何が違う?


「期間短縮型」は、毎月の返済額を変えずに、返済期間そのものを前倒しで短くする方法です。利息軽減効果が大きく、定年までに完済したい方や、できるだけ総支払額を抑えたい方に向いています。
「返済額軽減型」は、返済期間は変えずに、月々の返済額を下げる方法です。繰り上げ返済をした直後から家計の負担を軽くできるため、教育費が増える時期や、収入の変化に備えたい時期に効果を感じやすい方法です。

期間短縮型と返済額軽減型の特徴やメリット・デメリットを手書きのノートにまとめた比較表と、ペンを持つ手。

同じ金額を繰り上げ返済した場合、総利息の軽減額は期間短縮型の方が大きくなる傾向があります。たとえば同じ100万円を繰り上げ返済しても、期間短縮型は「将来の利息」を丸ごと圧縮する効果があるのに対し、返済額軽減型は「今の負担」を和らげる効果が中心になる、というイメージを持っていただくと選びやすくなります。将来に向けてできるだけ利息を抑えたい方は期間短縮型、今の家計にゆとりを持たせたい方は返済額軽減型を検討するとよいでしょう。

▶ フラット35の繰り上げ返済の条件と手数料


フラット35(買取型)では、繰り上げ返済の手数料は基本的にかかりません。ただし、金融機関の窓口で手続きする場合、繰り上げ返済できる金額は100万円以上という条件があります。

一方、住宅金融支援機構が提供するインターネットサービス「住・My Note」を利用すれば、10万円以上から繰り上げ返済が可能です。いずれの方法でも、繰り上げ返済を希望する日の1か月前までに、返済中の金融機関へ申し出る必要があります。

また、直前の返済日から繰り上げ返済日までの間に発生する利息(経過利息)を、別途お支払いいただく場合があります。事前に確認しておくと安心です。

木目の美しいテーブルの上で、平面図や自然素材の家のカタログを広げ、間取りについて打ち合わせをしている様子

なお、フラット35には「買取型」のほかに「保証型」という商品もあり、保証型では固定金利期間中に全額繰り上げ返済をする際に、3万3千円程度の手数料がかかる場合があります。ご自身が契約している商品タイプによって条件が異なりますので、事前に確認しておくと安心です。
民間銀行の住宅ローンの中には1円単位で繰り上げ返済できる商品もあり、フラット35は最低金額が決まっている点を事前に押さえておくとよいでしょう。少額をこまめに繰り上げ返済したい方は、ご自身が利用している金融機関の条件を確認しておくことをお勧めします。


シミュレーションで見る、繰り上げ返済の効果


繰り上げ返済の効果は、「いつ」「いくら」行うかによって大きく変わります。一般的に、借入から早い時期に、まとまった金額を返済するほど、利息軽減効果は大きくなります。

いつ・いくら返すかで利息軽減効果は変わる


利息は元金残高に対して発生するため、元金が多く残っている返済初期に繰り上げ返済を行うほど、軽減できる利息は大きくなります。具体的に見てみましょう。たとえば借入3,000万円・金利1.5%・35年返済というケースで、200万円を繰り上げ返済する場合、返済開始から10年後に行うと軽減できる利息は約85万円、20年後に行うと約46万円という試算例があります。同じ金額の繰り上げ返済でも、タイミングが早いほど効果は大きくなる傾向があると言えます。

繰り上げ返済を実施した場合の「利息軽減効果の推移」を示す、右肩下がりの折れ線グラフが印刷された資料。

逆に言えば、「いつか余裕ができたら」と先延ばしにするほど、その効果は小さくなりやすいということでもあります。お子さまの誕生や住宅取得のタイミングと合わせて、繰り上げ返済の計画を早めに描いておくことをお勧めします。

▶ 具体的な試算例(フラット35・3%台のケース)


前回の記事でお伝えした通り、2026年6月のフラット35金利は3.21%でした。仮に5,000万円を3.21%・35年で借り入れた場合、毎月の返済額は元利均等返済で約19.8万円になります(概算値)。この条件で、5年後に100万円を期間短縮型で繰り上げ返済すると、返済期間がおよそ1年短縮され、総支払利息を250万円以上削減できる可能性があります(試算値。実際の効果は借入条件やタイミング、金利によって異なります)。

借入金額3,500万円の住宅ローン返済シミュレーション表を見ながら、ノートと電卓を使って月々の返済額を計算している様子。

同じ100万円を返済額軽減型に充てた場合は、完済時期は変わらないものの、その時点から月々の返済額を下げる効果が得られます。一方で、教育費がかさむ時期や収入に変動があった時期には、返済額軽減型を選ぶご家庭も少なくありません。

なお、現在のような金利上昇局面では、固定金利のフラット35を利用している場合、変動金利のように返済額が上がる心配はありませんが、それでも「借りている金利が3%台である」という事実は変わりません。早めの繰り上げ返済は、金利上昇局面においても家計を守る有効な選択肢のひとつになり得ます。ただし、どちらが適しているかはご家庭の優先順位によって異なりますので、実際の数値は金融機関のシミュレーションでご確認いただくことをお勧めします。


繰り上げ返済で注意したい3つのポイント


繰り上げ返済は利息軽減につながる一方で、注意すべき点もあります。住宅ローン控除との関係、手元資金の確保、金利タイプによる考え方の違いという3点を押さえておくと、判断のミスを防ぎやすくなります。

① 住宅ローン控除との兼ね合いを確認する


住宅ローン控除とは、毎年の年末時点の借入残高のおおむね0.7%相当が、所得税などから差し引かれる制度です。借入残高が大きいほど、控除額も大きくなります。
つまり、繰り上げ返済で残高を減らすと、その年以降の控除額が小さくなる場合があります。
さらに、繰り上げ返済の結果、返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除そのものの対象外になる点にも注意が必要です。特に期間短縮型を選ぶ場合は、繰り上げ返済後の残りの返済期間が10年を下回らないか、事前に確認しておくことが大切です。

木製のデスクの上に広げられた住宅ローン控除証明書や年末調整書類一式と、手前に置かれたメガネとペン。

実際のご相談でも、「控除期間中だから繰り上げ返済はしない方がいいのか」と迷われる方がいらっしゃいます。控除による還付額と、繰り上げ返済による利息軽減額を比べると、借入残高や金利水準によって、どちらが有利かは変わります。どちらが正解かは、ご家庭の状況次第です。控除を受けられる残り年数と、繰り上げ返済による軽減効果の両方を並べて比較したうえで、判断することをお勧めします。

② 手元資金を減らしすぎない


繰り上げ返済に資金を充てすぎると、急な出費や収入の変化に対応できなくなるおそれがあります。一般的には、生活費の半年から1年分程度を目安に、手元の予備資金を確保したうえで繰り上げ返済を検討することが望ましいとされています。教育費や車の買い替え、家電の故障など、将来予定されている支出や突発的な出費がある場合は、それらを差し引いた金額で繰り上げ返済の計画を立てることをお勧めします。

木製のデスクに置かれた豚の貯金箱と、「予備費」「緊急用」「繰上返済用」と目的別に仕分けられた3つの封筒と硬貨。

「貯まった分を全部繰り上げ返済に回したい」というお気持ちはよく分かりますが、手元資金がゼロに近づくと、思わぬ出費の際にカードローンなど金利の高い借入に頼らざるを得なくなることもあります。繰り上げ返済はあくまで、生活の安心を確保したうえで検討するものとお考えください。

③ 金利タイプによって考え方が変わる


フラット35のような全期間固定金利の場合、返済額は契約時点で確定しているため、繰り上げ返済の効果は純粋に利息軽減として現れます。
一方、変動金利型を利用している場合は、今後の金利上昇リスクに備える目的で、返済額軽減型の繰り上げ返済を選ぶという考え方もあります。変動金利は現在低水準ですが、今後上昇していく可能性も指摘されていますので、金利が上がった際に返済額が急に増えることを避けたい方には、返済額軽減型が選択肢になり得ます。

住宅イラストとともにメリットや向いている人が記載された、固定金利と変動金利の案内資料を両手で持ち比較している様子。

ご自身が選んでいる金利タイプによって、繰り上げ返済の意味合いが変わってくる点も意識しておくとよいでしょう。


我が家に合った繰り上げ返済の進め方


繰り上げ返済は、貯まったらまとめて行うよりも、計画的に積み立てながら検討する方が、無理なく続けやすい傾向があります。

▶ ボーナス活用と毎月積立、それぞれの考え方


ボーナス時にまとまった金額を繰り上げ返済に充てる方法は、家計管理がしやすい一方、ボーナスが減額された年には計画が崩れやすいという面もあります。毎月少しずつ積み立てて、一定額が貯まった時点で繰り上げ返済を行う方法であれば、急な収入変動の影響を受けにくくなります。どちらが向いているかは、収入の波や家計の管理スタイルによって異なりますので、ご自身の働き方や収入の安定性に合わせて選ぶとよいでしょう。

落ち着いた色合いの木製デスクに置かれた、支給額や控除額が記載された賞与明細書と「賞与」と書かれた封筒、万年筆。

住宅ローンの相談の現場でも、「ボーナス返済を併用しているご家庭」と「毎月の返済のみのご家庭」とでは、繰り上げ返済の組み立て方が変わってくる印象があります。あらかじめ、どちらの方法で資金を準備するかを決めておくと、判断に迷いにくくなります。

▶ 迷ったら早めに専門家へ相談を


繰り上げ返済は、一度実行すると元に戻すことができません。金額やタイミングに迷う場合は、住宅ローンを契約している金融機関や、資金計画に詳しい住宅会社へ事前に相談することをお勧めしまず。

woodplusでも、資金計画のご相談の中で、繰り上げ返済のシミュレーションを一緒に確認させていただくことが可能です。「いつ、いくら繰り上げ返済すれば、控除や利息のバランスが取れるのか」という具体的な数字は、ご家庭ごとに異なります。漠然とした不安のまま判断するのではなく、数字で整理したうえで決めていただくことを大切にしています。

明るい窓際の木製テーブルに並べられた、ウッドデッキを備えた間取り図と詳細な資金計画表、および電卓。




本記事のまとめ


今回お伝えした内容を整理します。

• 繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があり、目的によって選び方が異なります。
• フラット35(買取型)の繰り上げ返済手数料は無料ですが、窓口は100万円以上、ネットは10万円以上という最低金額があります。保証型など一部商品では手数料がかかる場合があります。
• 繰り上げ返済は早い時期ほど利息軽減効果が大きくなる傾向があります。
• 住宅ローン控除との兼ね合いや、手元資金の確保など、事前に確認しておきたい注意点もあります。
• ご自身の金利タイプや家計の状況に合わせて、無理のない計画を立てることが大切です。

繰り上げ返済は、正しく使えば家計の安心材料になります。一方で、タイミングや金額を誤ると、手元資金が不足してしまうこともあります。迷ったときは、まず資金計画を整理するところから始めてみてください。

※本記事は2026年6月末執筆時点の情報をもとにしています。金利・制度・税制などの内容は変更される場合があります。最新情報は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。


引用元・参照元


・住宅金融支援機構「繰上返済|【フラット35】」 
https://www.flat35.com/user/kuriage_hensai.html

・住宅金融支援機構「住・My Noteでできること|【フラット35】」 
https://www.flat35.com/user/su-my-note/index.html

・住宅金融支援機構「繰上返済を行うことはできますか。」  https://jhffaq.jp/jhffaq/flat35/web/knowledge298.html

・住宅金融支援機構「最新の金利情報:長期固定住宅ローン【フラット35】」https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top

・住信SBIネット銀行「〔フラット35〕繰上返済の手数料はかかりますか?」https://help.netbk.co.jp/faq_detail.html?id=4060

・モゲチェック「フラット35を繰り上げ返済するタイミングは?手続きと条件も確認」https://mogecheck.jp/articles/show/bB5wrxOVq0PGqYa0kQAg

・モゲチェック「フラット35の繰り上げ返済の方法は?住宅ローン控除との関係も整理」https://mogecheck.jp/articles/show/ArKz81lk4DAOE97oeQJV

・イオン銀行 タマルWeb「【2026年最新版】住宅ローン控除(減税)でいくら戻ってくるの?」https://www.aeonbank.co.jp/column/mortgageloan/koujo/seido/

・日本経済新聞「フラット35、6月の最低金利3.21% 現行制度で初の3%超え」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA012N40R00C26A6000000/




よくある質問<FAQ>


Q1. 繰り上げ返済は最低いくらから可能ですか?


A. フラット35(買取型)の場合、金融機関窓口での手続きでは100万円以上、住宅金融支援機構の「住・My Note」を利用したネット手続きでは10万円以上から可能です。民間銀行の住宅ローンでは1円単位で対応している商品もありますので、ご自身が利用している金融機関の条件をご確認ください。

Q2. 期間短縮型と返済額軽減型、どちらが得ですか?


A. 一般的には、同じ金額を繰り上げ返済した場合、期間短縮型の方が総利息軽減額は大きくなる傾向があります。ただし、月々の負担を早めに減らしたい場合は返済額軽減型が適していることもあり、一概にどちらが得とは言い切れません。ご家庭の状況に合わせて選ぶことが大切です。

Q3. 繰り上げ返済をすると住宅ローン控除はどうなりますか?


A. 繰り上げ返済によって年末時点のローン残高が減るため、控除額も小さくなる場合があります。また、繰り上げ返済の結果、返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除の対象外になりますので注意が必要です。控除額の減少と利息軽減効果のバランスは、個別の状況によって異なりますので、事前にシミュレーションで確認することをお勧めします。

Q4. 手元の貯金がまだ少ない場合、繰り上げ返済は控えるべきですか?


A. 一般的には、生活費の半年〜1年分程度の予備資金を確保したうえで繰り上げ返済を検討することが望ましいとされています。急な出費や収入減少に備える資金が不足した状態での繰り上げ返済は、かえって家計を不安定にする可能性がありますので、優先順位を考えて計画することをお勧めします。

Q5. 繰り上げ返済はいつ申し込めばよいですか?


A. フラット35の場合、繰り上げ返済を希望する日の1か月前までに、返済中の金融機関へ申し出る必要があります。タイミングを逃さないよう、検討段階から早めに金融機関へ相談しておくと安心です。


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