【リビングは1階一択?】注文住宅の選択肢がぐっと広がる、2階リビングという考え方とは?
2026.10.22
こんにちは。
高槻市を中心に注文住宅やリノベーションを手掛ける工務店、woodplus代表の武下です。
打ち合わせの最初に「リビングは1階でお願いします」と言われることは、本当に多いです。
将来、階段がつらくなったらどうしよう。
ご夫婦で話していると自然に出てくる心配ですし、私自身もその気持ちはよく分かります。
ただ、敷地が限られていたり、まわりに家が迫っていたりすると、1階のリビングは思ったほど明るくならないことがあります。
そこで浮かんでくるのが、2階にリビングを置く案です。
狭小地でご相談を受けていると、2階に上げただけで、リビングの印象ががらりと変わるケースがあります。
逆に1階を寝室にすれば、光を抑えやすい分、落ち着いて眠れる部屋になる場合もあります。
将来の心配と、いまの暮らしやすさ。
両方を見ながら考えたいところです。
この記事では、1階と2階それぞれの特徴を整理しました。
あわせて、階段と健康に関する研究、国の統計、高齢期に住み替えを考える理由の調査も調べています。
どちらかへ誘導するつもりはありません。
1階ももちろん良い選択です。
ただ、選べる幅を知っておくと、家づくりの話し合いがずいぶん楽になります。

1階リビングと2階リビング、まず違いを整理します
最初にお伝えすると、どちらが正解ということはなく、敷地と暮らし方で向き不向きが変わります。
まず全体像を表にしておきます。
| 比べる点 | 1階リビング | 2階リビング |
|---|---|---|
| 将来の移動 | 階段を使わず生活しやすい | 日常的に階段の上り下りがある |
| 採光 | 隣家や道路の影響を受けやすい | 光を取り込みやすい場合が多い |
| 外からの視線 | 対策が必要になりやすい | 気になりにくい |
| 庭とのつながり | 出入りしやすい | 庭へ出るには階段を使う |
| 買い物の荷物 | 運びやすい場合が多い | 階段を使うので手間が増える |
| 寝室 | 2階になることが多い | 1階に置く案が取りやすい |
表はあくまで一般的な傾向です。
土地の向きや周辺の建物によって、結果が逆になることもあります。
▶ 1階リビングが選ばれる理由
最大の理由は、将来への安心感でしょう。
足腰が弱ってきたとき、階段を使わずに暮らせるのは、たしかに心強いです。
庭やウッドデッキにすぐ出られること、小さなお子さんから目が離れにくいことも、子育て世帯には魅力になります。

平屋を選ぶご家族もいらっしゃいます。
階段がそもそもないので、年を重ねても暮らしやすい形です。
▶ 2階リビングが力を発揮する場面
2階リビングが向いているのは、狭小地や、南側に建物が建て込んでいる土地です。
1階だと日が入りにくくても、2階なら窓から光を取りやすく、外からの視線も気になりにくくなります。
高槻市にも、狭小地や、隣家との距離が近い土地があります。
当社の経験では、まわりに建物が迫っている土地ほど、2階リビングをおすすめする場面が多いです。
1階に大きな窓をつけても、目の前が隣家の壁では、期待したほど明るくならないことがあるからです。

もうひとつ、私が良いと感じているのが寝室との関係です。
リビングを2階に上げると、寝室を1階に置く案が現実的になります。
1階は光が控えめになりやすいので、寝室に向いている場合があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、寝室の光・温度・音に配慮した環境づくりが、良い睡眠につながるとされています。
もちろん、道路に面した1階なら車の音が入りますし、防犯面の工夫も欠かせません。
1階に寝室を置いた場合は窓の位置や高さ、遮音、カーテンなどで整えていくことが重要になります。

一方で、2階リビングならではの悩みどころもあります。
買い物の荷物を2階まで運ぶ手間や、来客に階段を上がってもらう点です。
玄関から階段までの動線も含めて、図面で確かめておきたいところです。
階段の上り下りは、将来の足腰にどう関わるのでしょうか
ここで、私の持論を先にお伝えします。
年を重ねてあまり動かない生活になるのなら、せめて家の階段で、足腰を少しでも使い続けるという考え方もあるのでは?
そう思っています。まったく動けなくなってしまうと、家での生活そのものが難しくなるかもしれない、という心配もあります。
もちろん、体の状態は人それぞれです。
あくまで私個人の意見ですので、医学的な研究や公的な資料に当たってみました。
▶ 階段を使う習慣と健康の関係を調べた研究
2026年8月に、海外の研究チームが、医学誌「American Journal of Cardiovascular Drugs」に論文を発表しました。
階段を使うことと健康の関係を、複数の研究をまとめて再分析したもの(系統的レビューとメタ解析)で、9つの研究、約48万人分が対象です。
そのうち5つの研究を合わせた結果では、階段をよく使う人は、そうでない人と比べて、心血管疾患で亡くなるリスクが0.61倍(約39%低い)、原因を問わない死亡リスクが0.76倍(約24%低い)とされています。
ただ、読み方には注意が要ります。
• 階段を使う人ほどリスクが低い、という関連を示したものです。階段そのものが原因だと証明した研究ではありません。
• もともと体力のある人が階段を使いやすい、という可能性も残ります。
• 対象は35〜84歳の海外の研究で、日本の住宅の階段にそのまま当てはまるとは限りません。
• 研究者自身も、足腰や関節に不安のある方には、階段が向かない場合があると述べています。
▶ 日本の研究では「階段を自分で上り下りできるか」が目安になり得る
日本でも、地域で暮らす高齢者を対象にした研究(学術誌「理学療法科学」、2014年)があります。
階段の昇降を自分で行えない人は、行える人に比べて、握力、連続して歩ける距離、外出の範囲を測る指標、主観的な健康感などが低く、過去1年の転倒経験の有無にも差がみられました。
研究者は、階段昇降の評価が、要支援・要介護(公的な介護サービスが必要と認定された状態)の早期発見や予防につながる可能性を示しています。
階段は、足腰の状態が出やすい場所でもあります。
では、国はどのくらいの運動を目安にしているのでしょうか。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、高齢者に、歩行と同等以上の身体活動を1日40分以上(約6,000歩以上)、筋力やバランスを含む運動を週3日以上行うことを勧めています。
家の階段だけでこれを満たせるわけではありません。
それでも、毎日の生活に組み込まれる動きとして、決して小さくない存在だと思います。

▶ 階段だけが危険なわけではありません
反対側の事実もお伝えします。
消費者庁の資料によると、65歳以上の転倒・転落・墜落による死亡は、令和3年で9,509人でした。
このうち8割以上は、同じ平面上でのスリップやつまずき、よろめきによる転倒とされています。
階段での事故だけを数えたものではない点には、ご注意ください。
平らな床でも転ぶ以上、階段だけを避ければ安心、とは言えません。かといって、階段で転べば大きなけがにつながる場合もあります。上り下りしやすい階段づくりが前提です。
この点は最後の章で触れます。

高齢期に住み替えを考える理由は、調査でどう出ているか
住み替えを考える理由は、階段だけではありません。
内閣府の調査を見ると、体力面の不安と、家の住みづらさ、暮らしの便利さが、重なり合っているようです。
▶ 60歳以上の住み替えの意向
内閣府の令和5年度の調査(令和6年版高齢社会白書に掲載)によると、60歳以上で住み替えの意向がある人は、状況次第で検討したい人を含めて全体の約3割です。
理由で多かったのは、「健康・体力面で不安を感じるようになったから」と「自身の住宅が住みづらいと感じるようになったから」でした。年代が上がるほど、前者の不安を挙げる割合が高くなっています。
住み替え先に期待することの上位は、次の3つでした。
• 買い物が便利なこと
• 医療・福祉施設が充実していること
• 交通の便が良いこと
家の造りだけでなく、家のまわりで暮らしが回るかどうかも大きいのです。
なお、これは住み替えの「意向」を尋ねた調査で、実際に転居した人の統計ではありません。

▶ 変化のサインと、家づくりで先にできる備え
要介護や要支援になる原因は、厚生労働省の国民生活基礎調査で、調査のたびにまとめられています。
認知症や脳血管疾患のほか、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱が並び、順位は調査年によって変わります。原因の中には病気によるものだけでなく、足腰や転倒に関わるものも入っています。
最新の数値は、厚生労働省の公表資料でご確認ください。
そのうえで、私たちが打ち合わせでお伝えしている目安を表にしました。
当社の実務経験にもとづくもので、医学的な診断や、公的な基準ではありません。
| こんな変化が出てきたら | 家づくりで先にできる備え |
|---|---|
| 階段で手すりが欠かせなくなる | 手すりの下地を最初から入れておく |
| 転んだ経験が増える | 階段の明るさ、足元灯を計画する |
| 買い物や通院が遠く感じる | 土地選びの段階で生活圏を確認する |
| 2階への移動が負担になってきた | 1階に寝室・水まわりを集める |
▶ 階数より先に、土地の生活圏を見ておく
家づくりにおいて階数を決める前に、土地の生活圏も見ておきたいところです。
たとえば、買い物、病院、バス停までの距離は、住み替えを考える理由につながります。
土地探しの段階なら、場所を選び直すこともできます。
ハザードマップも自治体ごとに公開されているので、あわせて確認しておくと安心です。
2階リビングを選ぶなら、先に決めておきたい備え
2階リビングは、将来の備えを最初から設計に入れておけば、安心して選べる選択肢です。
打ち合わせでお話ししている内容を、3つに絞ってご紹介します。
▶ 1階だけでも暮らせる余地をつくる
2階リビングでも、1階に寝室、洗面、トイレ、お風呂を置く間取りなら、階段を使えない時期が来ても、1階だけで暮らせます。
たとえば、いまは子ども部屋にしている1階の部屋を、将来は寝室にする。
暮らしの変化に合わせて使い方を変えられる「可変型」のプランは、当社が得意としているところです。

▶ 階段は「安全に使えること」を最優先に
階段は、明るさ、手すり、足元の見やすさで安全性が変わります。
手すりは、今すぐ付けなくても、壁の中に下地(手すりを固定するための補強)を入れておけば、後から取り付けられます。
ホームエレベーターや階段昇降機を検討するご家族もいらっしゃいます。
スペースや費用は敷地と仕様で大きく異なりますので、個別にご相談ください。

▶ 2階リビングの暑さや寒さは、家の性能で変わります
2階リビングで気になるのが、屋根からの熱の影響です。
ここは断熱と気密で、暑さや寒さの感じ方が変わる部分です。
woodplusは、断熱性能UA値0.46以下(数値が小さいほど熱が逃げにくい)、気密性能C値0.5以下(数値が小さいほどすき間が少ない)を標準にしています。
すべての住宅で温熱計算と気密測定を行い、全熱交換型の24時間換気も組み合わせています。
とはいえ、実際の感じ方は間取りや窓の大きさ、暮らし方で違います。
完成見学会で体感していただくのが、いちばん確実だと思います。

この記事のまとめ
リビングの階数に、万人に共通の正解はありません。
敷地と、これからの暮らし方によって、答えが変わります。
1階リビングは将来の暮らしやすさ、2階リビングは採光と寝室づくりに強みがあります。
建物が近い土地では2階が有力ですが、荷物運びの手間は増えます。
階段昇降と健康の関連を示す研究はあるものの、階段が原因かどうかは証明されていません。
転倒は平らな床でも多く、階段だけが危険なわけではありません。
それでも、上り下りしやすい階段づくりは欠かせません。
住み替えを考える理由は、体力面の不安、住宅の住みづらさ、買い物・医療・交通の便が重なっています。
2階リビングを選ぶなら、1階だけで暮らせる余地と、手すり下地などの備えが役立ちます。
「将来が不安だから1階」と決める前に、「2階もあり得る」と考えてみてください。
間取りの選択肢が広がっていきます。
土地の条件、今の暮らし、10年後、20年後の姿を、ご夫婦で話し合うところから始めましょう。
※本記事は、2026年10月中旬に確認した情報をもとにしています。
統計や研究の内容は、更新される場合があります。
階段昇降と健康に関する研究は、関連を示すもので、因果関係を証明したものではありません。
引用元・参照元
• 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf
• 厚生労働省「睡眠対策(健康づくりのための睡眠ガイド2023)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
• 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」(要介護・要支援の原因の最新数値の確認先)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html
• 内閣府「令和6年版高齢社会白書 高齢期における住み替えに関する意識について」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/html/zenbun/s1_3_2.html
• 消費者庁「高齢者の事故に関するデータとアドバイス」
• Evaluating the Impact of Stair Climbing on Cardiovascular Risk Reduction: A Systematic Review and Meta-analysis, American Journal of Cardiovascular Drugs(PubMed)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42587225/
• 理学療法科学「地域在住高齢者における階段昇降動作が運動機能と活動量・心身機能に及ぼす影響について」(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/29/5/29_793/_pdf
• ScienceDaily「Taking the stairs could protect your heart and help you live longer」(上記メタ解析の紹介記事。対象年齢、研究者の注意点の確認に使用)
https://www.sciencedaily.com/releases/2026/08/260814011029.htm
よくある質問
Q1. 将来を考えると、やはり1階リビングのほうが無難ですか?
A. 階段を使わずに暮らせるという点では、1階リビングには確かな安心感があります。
ただ、2階リビングでも、1階に寝室と水まわりを置けば、1階だけで暮らせる家にできます。
ご家庭ごとに違いますので、今の暮らしと10年後の姿を並べて考えてみるのが、最初の一歩になります。
Q2. 階段を上り下りすれば、足腰が丈夫になりますか?
A. 階段をよく使う人は、健康上のリスクが低い傾向がある、という研究はあります。
ただ、階段そのものが原因と証明されたわけではありません。
無理のない範囲で、毎日の生活の中で体を動かす習慣として考えていただくくらいが、ちょうどいいと思います。
Q3. 高齢になって階段がつらくなったら、どうすればいいですか?
A. 心配になりますよね。
手すりの追加や、1階での生活への切り替えで対応できるケースが多いです。
最初から手すりの下地を入れておく、寝室に転用できる部屋を1階に用意しておくなど、建てる段階で備えておけば、あとで慌てずにすみます。
Q4. 2階リビングは夏に暑くなりませんか?
A. 気になる方は多いです。
屋根の熱の影響を受けやすいのは事実ですが、そのぶん、断熱と気密の性能、窓の位置や日射の遮り方で、暑さの感じ方は大きく変わります。
個別の条件によって異なるので、完成見学会で実際に確かめてみると、イメージがつかみやすいです。
Q5. 狭小地では、2階リビングのほうが良いのでしょうか?
A. 当社の経験では、高槻市のように建物が近い土地では、2階リビングをおすすめすることが多いです。
光を取り込みやすい場合が多い一方、周辺の建物の高さや窓の向きで結果は変わります。
土地が決まっている方も、検討中の方も、図面で確かめるのが早道です。
woodplus の施工エリアについて
弊社では、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、交野市などで、家づくりのご相談を承っています。
事務所から車で1時間圏内が目安です。
施工可能エリアの詳細は、お気軽にお問い合わせください。
ご相談・お問い合わせについて
リビングを1階にするか、2階にするか。
今回の内容だけで、答えが出なくても大丈夫です。
土地が決まっている方は、その敷地で光や視線がどうなるかを、ざっくりした図面でご覧いただけます。
まだ土地を探している段階でしたら、生活圏の確認も含めて、一緒に整理できます。
住んだあとの暮らしをイメージしたい方には、完成見学会やOB宅見学会もご用意しています。
2階リビングの明るさや、階段の上り下りの感覚を、実際の空間で確かめていただけます。
まずは情報収集からでも、遠慮なくご連絡ください。


