【想定外の浸水急増】千葉・石川・福井の豪雨から学ぶ、土地と住まいの水害対策の考え方
2026.09.10
こんにちは。
高槻市を中心に注文住宅やリノベーションを手掛ける工務店、woodplus代表の武下です。
2026年8月は、記録的な豪雨が全国各地で相次いだ月でした。千葉県での大雨に続き、石川県・富山県、そして福井県でも短期間に激しい雨が降り、住宅の浸水や道路の冠水など、多くのご家庭が影響を受けました。ニュースを見て、「もし自分たちの土地でも同じことが起きたら」と、ふと不安になったご夫婦も多いのではないでしょうか。
特に今回の一連の豪雨では、これまでハザードマップで「浸水のおそれが低い」とされていた場所でも被害が確認されました。水害への備えは、もう特定の地域だけの話ではなくなってきているのです。「うちの土地は大丈夫」——そう思っていた方ほど、今回の被害には驚かれたかもしれません。
この記事では、実際に何が起きたのかを一次情報から整理し、住まいづくりの段階でできる水害への備えや、土地選びの考え方についてお伝えしていきます。これから家づくりを検討されているご夫婦にとって、土地探しや設計を考えるときのひとつの材料になれば嬉しく思います。

2026年8月、日本各地で何が起きたのか
2026年8月13日から30日にかけて、千葉県、石川県・富山県、福井県で記録的な豪雨が立て続けに発生しました。いずれも住宅への浸水被害が広い範囲に及んでいます。まずは被害の概要から見ていきましょう。
▶ 千葉県(8月13日〜14日)
8月13日夜から14日未明にかけては、千葉県内で線状降水帯が相次いで発生しました。気象庁は千葉県内の22市町にレベル5の大雨特別警報、6市にレベル5の土砂災害特別警報を発表し、千葉県・茨城県の最大19市町村、約20万世帯・40万人に避難指示が出されています。
この大雨は「令和8年8月千葉豪雨」と名付けられました。住宅被害は8月27日10時時点で4,597棟(半壊302棟、床上浸水2,218棟、床下浸水1,987棟)にのぼり、被害認定調査が今も続いているため、この数字は今後さらに増える可能性があります。

▶ 石川県・富山県(8月27日〜28日)
「令和8年8月千葉県豪雨」からわずか2週間後、8月27日深夜から28日にかけては、石川県・富山県が記録的な大雨に見舞われました。石川県羽咋市では1時間に82.0ミリ、12時間で316.0ミリという、いずれも観測史上最大の雨量を記録し、富山県氷見市でも12時間で317.0ミリの大雨となっています。気象庁は石川県・富山県にレベル5の大雨特別警報を発表し、住宅街での大規模な浸水や道路の冠水が各地で確認されました。
8月27日時点の速報分析では、5市町の社会・経済的な影響が約9.5億円から38.7億円にのぼると試算されています。住宅や家財、道路や公共施設の復旧なども含めた広い範囲に影響が及んでいるとみられますが、発生直後の速報値であるため、今後の調査で数字が変わる可能性がある点にはご留意ください。

▶ 福井県(8月30日)
数日を置かず、8月30日には福井県の福井市・大野市・勝山市にレベル5の大雨特別警報が発表されました。永平寺町では24時間で342.0ミリ、坂井市の観測点では338.0ミリの雨量が記録され、住宅や公共施設への浸水、道路の冠水が相次いでいます。福井県は、福井市・大野市・勝山市・あわら市・坂井市・永平寺町の6市町に災害救助法を適用しました。
■ここまでの3つの豪雨を、発生時期と特徴で整理すると次のとおりです。
| 地域 | 主な発生時期 | 特徴 |
| 千葉県 | 8月13日〜14日 | 線状降水帯、22市町にレベル5特別警報 |
| 石川県・富山県 | 8月27日〜28日 | 複数地点で観測史上最大の雨量を記録 |
| 福井県 | 8月30日 | 24時間300ミリ超、6市町に災害救助法適用 |
こうして振り返ると、わずか半月ほどの間に、地域も雨の降り方も異なる3つの豪雨が発生したことになります。特定の地域だけの出来事というより、大雨の降り方そのものが、これまでの経験則では読みにくくなってきている——そう感じさせる展開でした。
※本記事は執筆時点(2026年9月上旬)の情報です。被害状況や数値は、その後の調査で更新される場合があります。
ハザードマップの外でも浸水は起こりうる
今回の一連の豪雨では、ハザードマップで浸水の可能性が低いとされていた場所でも被害が数多く報告されました。色分けだけを頼りに水害への備えを考える時代は、終わりつつあるのかもしれません。
▶ 被害の半数以上が想定区域「外」から
千葉豪雨に関する調査によると、住宅被害の報告のうち55.7%が、河川の氾濫を前提とした浸水想定区域や、周辺より低い「低地帯」の外から寄せられていたことがわかっています。これは、河川があふれる「外水氾濫」ではなく、雨水を排水しきれずに道路や敷地にあふれる「内水氾濫」が広い範囲で起きたためと考えられています。
一般的な下水道の排水能力は1時間あたり50ミリ程度とされていますが、今回はそれを大きく上回る、1時間に80ミリを超えるような猛烈な雨が降った地点もありました。排水が追いつかなければ、ハザードマップでは「浸水しにくい」とされている場所であっても、水があふれてしまうことがあります。
実際に、千葉県内では「ハザードマップでは問題ないとされていたエリアで浸水した」という声が複数寄せられています。同じような内水氾濫は、地形や排水設備の状況によって、程度の差はあれ、どの地域でも起こりうるものです。

▶ ハザードマップが不要というわけではない
とはいえ、ハザードマップが不要というわけではありません。河川の氾濫による大規模な浸水リスクを知るうえでは、今も重要な情報源です。ただ、ハザードマップに「浸水想定なし」と表示されているからといって、水害のリスクがゼロというわけではない、という点は、土地選びの際にぜひ知っておいていただきたい視点です。
woodplusが家づくり勉強会や個別相談の場でお客様とお話ししていても、「ハザードマップさえ確認すれば安心」と考えている方は少なくありません。今回のような内水氾濫の広がり方を見ると、ハザードマップの確認と合わせて、敷地そのものの排水のしやすさや、周辺の地形についても目を向けておくことが、これからの土地選びではより大切になってきていると、現場で日々感じています。

住まいづくりでできる、具体的な水害への備え
水害のリスクは、土地の場所だけでなく、建物側の工夫によってもある程度やわらげることができます。ここでは、設計・施工の段階で検討できる代表的な対策をご紹介します。
▶ 建築的にできる代表的な対策
| 対策項目 | 内容 | 期待できること |
| 基礎・地盤面のかさ上げ | 敷地の状況に応じて基礎の高さを周辺の道路面より高く設定する | 床上への浸水を防ぎやすくなる |
| 屋外設備の設置高さの工夫 | 給湯器の設置台を高くする(woodplusの実務上の目安としておおむね1メートル以上) | 設備故障のリスクを抑えやすくなる |
| 電気設備の配置 | 分電盤や主要なコンセントを通常より高い位置に設置する | 床上浸水時の電気設備の被害を抑えやすくなる |
| 止水板・防水塀 | 玄関やガレージなど、水が入りやすい開口部に設置する | 一定の浸水の侵入を防げる場合がある |
| 外構・排水計画 | 駐車場の勾配や雨水桝の位置をあらかじめ計画する | 敷地内の雨水をスムーズに排水しやすくなる |

これらのうち、屋外設備の設置高さは公的な統一基準があるわけではなく、敷地の高さや過去の浸水実績によって適切な水準が異なります。「1メートルまで上げれば絶対に安心」というものではなく、あくまでwoodplusが現場で培ってきた実務上の目安として、敷地条件に合わせて検討することが大切です。

▶ 間取りや建物配置での工夫
そのほか、建物の配置や間取りにも工夫の余地があります。1階に水回りや寝室など生活の中心を置く場合は、床の高さや窓の位置を見直し、万が一浸水した場合の被害を最小限にとどめる設計も検討できます。

▶ 対策は敷地条件に合わせて選ぶもの
こうした対策は、すべての住宅に一律に必要というわけではありません。敷地の高さや周辺の地形、過去の浸水実績を踏まえながら、必要な部分だけを選んで取り入れていくのが現実的です。
woodplusでは、設計の打ち合わせのなかで、こうした水害への備えについても、お客様の敷地条件に合わせてご相談いただける体制を整えています。
土地選びとハザード外エリアでの家づくりについて
ハザードマップだけを基準に土地を絞り込むと、選択肢が大きく狭まってしまうことがあります。大切なのは、ハザードマップの外か中かだけで判断するのではなく、その土地でどのような備えができるかまで含めて検討することです。
▶ 色だけで判断すると選択肢が狭まる
内水氾濫は、特定のエリアに限らず起こりうるものです。そのため、「色がついていないから安心」「色がついているから避けるべき」と単純に判断してしまうと、実際には十分な備えができる土地であっても、検討の対象から外れてしまう可能性があります。
実際のところ、リスクを左右するのは色の有無よりも対策の有無です。対策をしっかり行えば、周辺よりわずかに低い土地であっても、基礎を高くする、外構の排水計画を工夫するといった建築的な対応によって、水害のリスクを一定程度おさえられる場合があります。逆に、対策を怠れば、ハザードマップ上のリスクが低いとされる土地であっても、周辺の排水状況や地形によっては内水氾濫が起こり得ます。
つまり、ハザードマップの色は土地を選別するためのふるいではなく、どこにどんな備えが必要かを教えてくれる材料として使うのが本来の役割だと思います。

▶ ハザード情報は引き続き大切な判断材料
もちろん、ハザードマップや過去の浸水実績、地盤の状況などは、土地選びの重要な判断材料であることに変わりはありません。これらの情報は、事前にしっかり確認しておく必要があります。
▶ 建築的な視点も交えた土地探しを
woodplusでは、土地探しの段階から建築的な視点を取り入れ、ハザード情報だけでなく、「その土地でどんな暮らしが実現できるか」「どのような備えができるか」まで含めてご提案しています。ハザードマップの外か中かだけで選択肢を狭めてしまう前に、一度、建築側の視点も交えて土地を見てみることをおすすめします。

この記事のまとめ
2026年8月は、千葉県、石川県・富山県、福井県と、短期間のうちに記録的な豪雨が相次ぎ、多くの住宅で浸水被害が発生しました。今回の一連の豪雨からは、ハザードマップの想定区域外であっても浸水は起こりうること、そして水害への備えは特定の地域だけの課題ではないことが、あらためて浮き彫りになったといえます。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
- ✅2026年8月は千葉県・石川県・富山県・福井県で記録的な豪雨が相次ぎ、住宅の浸水被害が発生した
- ✅千葉豪雨では、被害報告の半数以上がハザードマップの想定区域「外」から寄せられていた
- ✅排水が追いつかない「内水氾濫」は、ハザードマップに関わらずどの地域でも起こりうる
- ✅基礎の高さや室外機・電気設備の位置、外構の排水計画など、建築側でできる備えは複数ある
- ✅土地選びは、ハザードマップの色分けだけでなく、建築的にどんな備えができるかまで含めて検討することが大切
ハザードマップは大切な情報源です。ただ、それだけに頼りすぎず、建物側の工夫と組み合わせて考えることが、これからの家づくりでは重要になってきています。ご不安な点があれば、土地探しの段階から、ぜひ一度ご相談ください。
※本記事には、内容理解を助ける目的で一部AI生成画像を使用しています。
H2:引用元・参照元
・国土交通省「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(第13報・8月27日10時時点ほか)」
https://www.mlit.go.jp/saigai/saigai_260813.html
・総務省消防庁「令和8年8月千葉豪雨による被害及び消防機関等の対応状況(第18報・8月27日10時時点)」
https://www.fdma.go.jp/disaster/info/2026/
・内閣府 防災情報のページ「令和8年8月千葉豪雨に関する被害状況等の資料」
https://www.bousai.go.jp/updates/r8chiba_ooame/pdf/260815_1000.pdf
・福井県災害対策本部「令和8年8月29日からの大雨の被害状況について」
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kikitaisaku/fuusuigai/20260829ooame_d/fil/2608300800.pdf
・ウェザーニュース「【石川・富山 記録的豪雨】社会・経済的影響は約9.5億円〜38.7億円と試算(8月27日時点の速報分析)」
https://weathernews.jp/news/202608/280231/
・日本経済新聞「千葉豪雨、浸水想定区域外でも被害 排水追いつかず『内水氾濫』」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD172B40X10C26A8000000/
・ITmedia NEWS「千葉水害、半数以上が“ハザードマップの浸水エリア外”で起きていた ウェザーニューズ調査より」
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2608/17/2000000561/
・福井新聞ONLINE「福井県嶺北に一時レベル5大雨特別警報、レベル2大雨注意報に」
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2686422
・株式会社Spectee「【速報】SNSに見る、石川・富山県の記録的大雨の被害」
https://spectee.co.jp/report/breaking_sns_toyama_ishikawa_rain_damage_2026/
※本記事は執筆時点の情報です。被害状況や統計、制度等は変更・更新される場合があります。最新情報は、各公的機関・公式サイトでご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. ハザードマップで安全とされている土地なら、水害の心配はしなくても大丈夫ですか?
A. 多くの場合、ハザードマップは河川の氾濫リスクを知るうえで大切な情報ですが、今回のような内水氾濫は、想定区域の外でも起こることがあります。ハザードマップの確認に加えて、周辺の地形や排水状況、建築的な備えについても合わせて検討いただくと、より安心して進めやすくなります。
Q2. 室外機の設置高さは、どのくらいを目安にすればよいですか?
A. 敷地の高さや過去の浸水実績によって適切な高さは異なるため、一概には言えませんが、浸水リスクが気になる敷地では、おおむね1メートル前後を目安に検討するケースがあります。まずは敷地の状況を確認しながら、設計担当者と一緒に相談していただくことをおすすめします。
Q3. 水害対策をすると、費用はかなり上がってしまいますか?
A. 対策の内容によって費用感は変わりますが、すべてを一律に取り入れる必要はありません。敷地の条件やご家族の不安な点に合わせて、必要な箇所だけをピンポイントで強化する進め方も可能です。まずはどんな備えが必要そうか、整理するところから始めていただければ大丈夫です。
Q4. 今回のような豪雨は、これからも増えていくのでしょうか?
A. 将来の気象傾向を断定的にお伝えすることはできませんが、近年、短時間に激しい雨が降るケースが各地で報告されています。だからこそ、特定の地域だけでなく、住まいづくり全体で備えを意識しておくことが、安心につながると考えています。
Q5. すでに土地を持っている場合でも、対策は可能ですか?
A. はい、可能です。すでにお持ちの土地でも、建物の配置や基礎の高さ、設備の位置などを工夫することで、一定の備えを取り入れられる場合があります。まずは敷地の状況を一緒に確認させていただければと思います。
woodplus の施工エリアについて
woodplusでは、高槻市を中心に、島本町、茨木市、枚方市、摂津市、守口市、寝屋川市、吹田市、箕面市、豊中市、交野市などを中心に、家づくりのご相談を承っています。施工可能エリアの詳細は、お気軽にお問い合わせください。
ご相談・お問い合わせについて
今回のような水害への備えは、実際の土地や建物の状況によって、必要な対策が変わってきます。もし気になる土地がある場合や、これから土地探しを始められる場合は、一度、建築的な視点も交えてご相談いただくと、判断がしやすくなるかもしれません。
まずは情報収集からでも大丈夫です。
実際の基礎や構造を確認いただける構造見学会や、敷地条件に合わせた個別相談など、気になるものから気軽にご活用ください。


