Loading...

NEWS

【大手が勧める理由】全館空調のアンケート結果から見えた、快適さと引き換えの見落としとは?背景は、白い天井にすっきりと納まるスリット型の空調吹き出し口と木目の梁です。

【大手が勧める理由】
全館空調のアンケート結果から見えた、快適さと引き換えの見落としとは?

2026.07.23

こんにちは。
高槻市を中心に家づくりをご提案しているwoodplus代表の武下です。

家づくりを検討していると、住宅設備の中でも特に目を引く存在が「全館空調」ではないでしょうか。多くのハウスメーカーが大きな特徴として紹介しているため、気になっている方も多いと思います。

前回の記事では、エアコンを効率よく使うためのポイントについてお伝えしました。今回はその続きとして、多くのハウスメーカーが大きな特徴として打ち出している「全館空調」について、実際のところどうなのかを、公表されている調査データをもとにできるだけ正直にお伝えしたいと思います。

全館空調は、家じゅうの温度を一定に保てるという点で確かな価値がある設備です。冬の寒い廊下や夏の蒸し暑い脱衣所といった不快感を減らせることは、多くの方にとって魅力に感じられるはずです。
一方で、ご家族一人ひとりの体感温度の違いや、使っていない部屋まで空調し続けることの効率、そして住み始めてからのメンテナンス費用まで含めて考えると、向き・不向きがはっきり分かれる設備でもあります。

woodplusでは、全館空調を標準として積極的にお勧めしていません。
ただしそれは、設備そのものを否定しているのではなく、まずご家族の暮らし方に合っているかどうかを一緒に考えていただきたいと考えているからです。この記事を読んで、ご自身のご家庭に合うかどうかを判断する材料になれば幸いです。

また、全館空調を採用することで、部屋を仕切る壁やドアを減らし、開放的な間取りにしやすくなるという設計上のメリットもあります。吹き抜けやリビング階段のある間取りをご検討中の方にとっては、この点も気になるポイントかもしれません。

節のある無垢材の床と、大きなピクチャーウインドウから豊かな緑を望むナチュラルなLDK空間。




アンケートで見えてきた満足度の実態


全館空調の満足度について、実際に住んでいる方を対象にした調査データを見てみましょう。
旭化成ホームズが2025年2月に公表した「首都圏における戸建住宅の全館空調満足度調査」(2024年10月実施、首都圏在住30〜79歳で10年以内に戸建てを新築した方が対象、全館空調利用者237名・個別エアコン利用者736名)によると、年間を通した家全体の温熱環境に対する満足度は、全館空調利用者で70.1%個別エアコン利用者で50.1%となり、20ポイントの差がついたと報告されています。

項目別に見ても、全館空調はすべての項目で6割以上の満足度となっており、なかでも「部屋間に温度差のない温熱環境」については、「大変満足」と答えた方が29.1%と最も高い割合になっています。冬場の満足度についても、全館空調利用者の「大変満足」が34.6%と、個別エアコン利用者の17.3%の2倍近い水準になったと報告されています。

同調査では、全館空調を選んだ方ほど住宅会社選びの段階から「高断熱・高気密であること」を重視する傾向があったことも紹介されており、性能の高さと満足度が結びついていることがうかがえます。

吹き抜けの天井と化粧梁がある開放的なリビングダイニング。無垢材の床に大開口の窓から光が差し込む空間。


一方で、全館空調を採用していない住宅についても、興味深いデータがあります。旭化成建材(株)快適空間研究所が2016年8月に実施した「住まいの温熱環境の実態と満足度」調査(戸建住宅居住者579名対象)では、夏季に「部屋が暑くて使えない、あるいは使いたくない」スペースがあると答えた方が45.4%にのぼると報告されています。

同調査では、温熱環境に満足している方の理由として「風通しがよい」「冷暖房の効きが良い」が多く挙げられた一方、不満を感じている方の理由としては「冷房しないと暑い」に続き、「1・2階の温度差」や「冷房部屋との温度差」を挙げる方が多かったことも紹介されています。使いたくない部屋として最も多く挙げられていたのは「寝室」で、日中は冷房をつけていないことが多い2階の部屋が、夕方以降に熱がこもりやすいことが背景にあると考えられます。

窓越しの柔らかな陽光が差し込む、木目の床と木製家具で統一された温かみのあるナチュラルな寝室。


これらのデータから見えてくるのは、「家じゅうの温度を均一に保つ」という全館空調の基本機能そのものは、多くのご家庭にとって確かな価値があるということです。この点は、私たちも正直にお伝えしたいポイントです。
ただし、この満足度の高さは、あくまで「家全体を均一に保てること」に対する評価であり、家族一人ひとりの感じ方の違いまでをカバーするものではない、という点には注意が必要です。次の章で、この点を詳しく見ていきましょう。




それでも「体感温度」は家族それぞれ違う


満足度の高さが伝わる一方で、見落とされがちなのが「暑い・寒いの感じ方は、家族一人ひとり違う」という点です。

一般的に、標準的な全館空調は家全体を同じ設定温度で管理する仕組みが基本とされています。個室ごとに細かく温度を変えることが難しい場合があり、家族の中に暑がりの方と冷え性の方が両方いるようなご家庭では、「誰か一人が我慢する」「リモコンや設定温度をめぐって意見が分かれる」といった場面が起こることも考えられます。

小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭では、大人と子ども、あるいは世代によって体感温度が異なることも珍しくありません。例えば、寒がりのおばあ様と暑がりのお孫さんが同じ空間で過ごす時間が長いご家庭では、設定温度をどこに合わせるかで意見が分かれる、という場面も想像しやすいのではないでしょうか。

無垢材の床と木製家具で統一されたリビングで、テレビを囲んでくつろぐ4人家族の後ろ姿。


もちろん、最近では部屋ごとに温度を調整できるゾーン制御タイプの全館空調も登場しており、こうした課題に対応する製品も増えてきています。ただし、その分導入費用が上がる傾向にあるとされているため、価格と機能のバランスを見ながら検討することが大切です。すべての全館空調が同じ仕組みというわけではないため、検討される際は、ご自身が見ている製品がどのタイプにあたるのかを確認しておくと安心です。

白い天井にすっきりと納まるスリット型の空調吹き出し口と、アクセントとなる木目の化粧梁。


個別に壁掛けエアコンを設置する方式であれば、部屋ごとに「今日はこの部屋だけ少し涼しくしたい」「寝室だけ少し暖かくしたい」といった細やかな調整がしやすくなります。ご家族の体感温度の違いが大きいご家庭ほど、この点は事前によく話し合っておきたいポイントだと感じています。

和室とつながる、ナチュラルな木目の床と明るい日差しが差し込むシンプルなリビング空間。


また、体感温度の違いは、その日の服装や活動量、体調によっても変わってくるものです。全館空調のように家全体の温度をあらかじめ一定に決めてしまう仕組みでは、こうした日々の細かな変化に対応しづらい場面も出てくるかもしれません。




リビングにいるのに、家全体を空調する効率とメンテナンス費用


もう一つ、私たちが気になっているのが「効率」の視点です。
例えばご家族がリビングに集まって過ごしている時間帯でも、全館空調は基本的に家全体を空調し続ける仕組みです。誰もいない寝室や子ども部屋まで同じように温度管理をし続けることになるため、実際に使っている部屋だけで考えると、使っていない部屋の分まで空調していることになります。

「実質的な効率という点では見方が分かれる」という指摘もあり、電気代が高くなるか安くなるかは、住宅の断熱・気密性能や家族構成、日中の在宅状況、使い方によっても変わってくるため、一概には言えないというのが実情です。断熱・気密性能の高い住宅であれば全館空調でも電気代を抑えやすいとされていますが、性能が十分でない住宅では、快適な空気が外に逃げやすく、エアコンが稼働し続けることで電気代がかさみやすいとも言われています。

開かれた木目調のドアから見える、無垢材の床と明るいリビングでくつろぐ子どもの後ろ姿。


必要な場所を、必要な時間に、必要なぶんだけ快適にする——これは、前回の記事でお伝えしたエアコンの効率的な使い方にも通じる考え方です。全館空調は「家じゅう常に快適」を実現できる設備である一方、「今そこにいる家族のためだけに使う」という考え方とは、少し性質が異なる設備だと感じています。

どちらが良い・悪いということではなく、ご家族の過ごし方や価値観に合っているかどうかで選んでいただきたいところです。共働きで日中は家に誰もいないご家庭と、在宅時間の長いご家庭とでは、感じ方も変わってくるはずです。休日にご家族そろってリビングで過ごす時間が長いご家庭であれば、その時間帯だけ集中して快適にするという選び方も、一つの考え方としてあってよいと思います。

また、全館空調の中には冷暖房と24時間換気の機能を一体化させたタイプもあり、設備がまとまることで室外機の数を減らせるといった見た目の面でのメリットも報告されています。効率の面だけでなく、こうした暮らしやすさとのバランスで検討することも大切です。

白い塗り壁に木製の格子窓と瓦屋根の軒先が美しい和モダンの外観と、壁掛け設置されたエアコン室外機。


最後に、意外と見落とされがちな費用の話です。
全館空調の導入には、一般的に100万円から300万円程度の費用がかかるとされています(2026年7月時点の目安)。延床面積や選ぶシステムによって費用の幅は大きく変わるため、実際の金額は必ず個別のお見積りでご確認いただくことをおすすめします。壁掛けエアコンを複数台設置する場合と比べると、初期費用は高くなりやすいというのが一般的な傾向です。

また、初期費用だけでなく、住み始めてからのメンテナンス費用にも目を向けておく必要があります。ダクト方式の全館空調は、天井裏や床下に張り巡らせたダクトを通じて空気を家じゅうに送る仕組みが一般的で、このダクトは個人で清掃するのが難しく、業者による定期的な点検や清掃が必要になる場合があります。機種や設置環境によっては、送風を止めるとダクト内に湿気がこもりやすくなる場合があるとされており、長期不在時でも空調を止めにくいという声もあります。旅行や帰省で家を空ける際にも、空調を止めるかどうか気を配る必要が出てくるかもしれません。

白い天井に設置された、全館空調や換気システムの白い吹き出し口。インテリアに馴染むシンプルなデザインで、カバーが開いた状態です。


さらに、設備自体の寿命が来た際の更新費用も、壁掛けエアコンに比べると高額になりやすい傾向があります。壁掛けエアコンであれば1台ごとに市販品と交換すればよいのですが、全館空調は家全体のシステムとして一体化しているため、更新時にまとまった費用が発生しやすいのです。導入時の初期費用だけでなく、定期点検費・フィルター交換費・将来の設備更新費まで含めたトータルの費用感を持っておくことが、後悔のない設備選びにつながると考えています。

天井の化粧梁と無垢材の床が特徴的な、塗り壁と障子戸を合わせた和モダンテイストのリビング。




この記事のまとめ


全館空調は、家じゅうの温度を均一に保てるという点で、多くの方に選ばれている理由がはっきりとデータにも表れている設備です。一方で、家族一人ひとりの体感温度の違い、使っていない部屋まで空調し続けることの効率、そして導入後のメンテナンス費用まで含めて考えると、向き・不向きがはっきり分かれる設備でもあります。

woodplusでは、まず住まいそのものの断熱・気密性能を高めることを大切にしています。UA値0.46以下・C値0.5以下の高気密・高断熱の住まいであれば、壁掛けエアコン数台でも、多くの場合十分に快適な室内環境を保てると考えており、部屋ごとに細かく温度調整もしやすくなります。設備がシンプルであるほど、将来の修理や交換もしやすく、結果として長く安心して暮らせると考えているからです。

とはいえ、全館空調にご興味をお持ちのご家族や、「家族の人数が多く、家じゅうを均一にしたい」といった明確なご希望をお持ちの場合には、もちろんご要望に応じて対応いたします。大切なのは、流行っているからということではなく、ご自身のご家族の暮らし方に合っているかどうかです。




引用元・参照元


・旭化成ホームズ株式会社
「全館空調※1と個別エアコン空調※2利用者の声から顧客ニーズを探る『首都圏における戸建住宅の全館空調満足度調査』」
ニュースリリース(2025年2月12日):全館空調・個別エアコンの温熱環境満足度データの確認に使用

・旭化成ホームズ(Asu-haus)
「【調査結果あり】2人に1人が『暑くてイライラ』夏の暮らしへの不満の理由と解決方法」内、旭化成建材(株)快適空間研究所「住まいの温熱環境の実態と満足度」調査(2016年8月実施):夏季に「使いたくない部屋がある」と回答した割合(45.4%)の確認に使用

※本記事内の費用相場は確認時点(2026年7月)の一般的な目安であり、延床面積・選定機種・施工地域によって変動します。実際の費用については、必ず個別のお見積りでご確認ください。




よくある質問<FAQ>


Q1. 家族で体感温度が違う場合、全館空調は向いていませんか?


A.体感温度の差が大きいご家庭では、標準的な全館空調では温度調整がしづらい場面が出てくることがあります。部屋ごとに温度を調整できるゾーン制御タイプの製品もありますので、ご興味がある場合は製品ごとの仕組みを確認しながら検討することをおすすめします。

Q2. 全館空調と個別エアコン、電気代はどちらが安いですか?


A.住宅の断熱・気密性能や家族構成、使い方によって変わるため、一概にはお答えできません。断熱・気密性能の高い住宅であれば、全館空調でも電気代を抑えやすいとされています。個別のご状況に応じたシミュレーションをご希望の場合は、お気軽にご相談ください。

Q3. 全館空調のメンテナンス費用はどのくらいかかりますか?


A.機種や設置環境によって異なりますが、ダクトの定期点検・清掃費用や、将来的な設備更新費用がかかる場合があります。初期費用だけでなく、住み始めてからの費用まで含めて検討することをおすすめします。

Q4. woodplusでも全館空調を採用してもらえますか?


A.はい、対応可能です。woodplusでは標準としては積極的にお勧めしておりませんが、ご家族のご希望に応じて全館空調の採用についてもご相談を承っております。

Q5. 全館空調以外に、家じゅうを快適にする方法はありますか?


A. UA値やC値といった断熱・気密性能を高めることで、壁掛けエアコン数台でも家じゅうを快適に保ちやすくなります。まずは住まいそのものの性能を高めることを優先し、そのうえで必要な設備を選んでいくという考え方もございます。




woodplus の施工エリアについて


woodplusでは、高槻市を中心に、島本町・茨木市・枚方市・摂津市・守口市・寝屋川市・吹田市・箕面市・豊中市・片野市など、事務所から車で1時間圏内のエリアを主な施工エリアとしております。
全館空調に限らず、住宅設備やご予算配分についてのご相談も、お気軽にお寄せください。




ご相談・お問い合わせについて


「うちの場合、全館空調は向いているのだろうか」「体感温度の違いをどう解決すればいいのだろう」——そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度、woodplusの個別相談や家づくり勉強会にお越しください。

ご家族の暮らし方に合わせて、設備選びの考え方から一緒に整理させていただきます。LINEやお電話でのちょっとしたご質問にも、迅速に対応しております。
オンライン相談やお子様連れでの打ち合わせにも対応しておりますので、ご都合に合わせてお気軽にご利用ください。